2018.10月号
ナビゲーター/MAKI & FUMIKA

江戸時代から続く老舗酒蔵
矢野酒造



酒蔵ツーリズムで一躍有名になった鹿島の酒蔵。2011年に「鍋島大吟醸」がインターナショナルワインチャレンジ(世界最大規模で最高権威と称されるワインの品評会)SAKE部門で世界一の栄誉「チャンピオン・サケ」を受賞したことがきっかけとなり、この酒蔵ツーリズムは始まった。

それから7年が経ち、現在では2日間の開催期間中に鹿島市の人口の倍以上の「8万人」が来てくれるような、鹿島を代表するイベントに育ってくれたと矢野さんが教えてくれた。次回、第8回目は2019年3月23日(土)、24日(日)に開催。昨年にも増してさらに注目が集まっている。
原料の味が反映されやすいのがワインだとすると、日本酒は、お米と麹、酵母、蒸し方、温度管理、加熱処理などワインよりも組み合わせるピースが多いからとても複雑な味わいに仕上がる。自分の狙った味を出そうと思えば、ピースの組合せ次第で味が作れるのがいい点でもあるが、組み立てるだけの知識や状況に応じた決断ができないと難しい世界なのだ。そんな中、今年の7月に開催された全国燗酒コンテスト2018では矢野酒造が醸造した「肥前蔵心きもと純米」が金賞を受賞。ぬる燗部門では「竹の園上撰」がなんと最高金賞を受賞した。さてさて、矢野酒造のお酒のおいしさの秘密に迫ってみよう。


九代目継承者兼杜氏
矢野元英常務と奥様


矢野さんは地元、鹿島高校を卒業後、大学へ進学、横浜の美術館に就職した。次男であるため、元々家業を継ぐ気がなかったそうだ。しかし、長男が所帯を持ち、海外へ転勤。地元に戻る気がないことを聞き一念発起。矢野さんが持っていた「モノづくりへの憧れや欲求」を活かす時が来た。矢野酒造に戻る前に、一度別の会社でワンシーズンだけお酒造りに携わって勉強し、 27歳で、大好きな地元鹿島へ喜んで帰郷した。その後、広島にある酒類総合研究所に 1カ月半住み込みで働き、酒造りについて多くのことを学んだ。そこから本格的に酒造りに打ち込むようになったという。それからは自家の酒造りを手伝いながら、県外・海外への営業プロモーションを行ってきた。ちなみに、奥様の亜紗美さんとの結婚は 5年前。同じ鹿島で育ち、息ぴったりのお二人だ。

現在はお父様が社長だが、今回の造りから元英さんが経営・杜氏を担うこととなった。軽めでスッキリとした味わいのお酒が多いが、今後はもっと酸が豊富で重厚感があり、蔵に棲みついてる「乳酸菌」を活かした酒を造っていきたいという理想をお持ちだ。今ある銘柄も大事に守りながら、自分が作りたいお酒を新しい銘柄として提案できればと、熱い想いを語ってくれた。一つの蔵を仕切るというプレッシャーを感じながらも、日本酒の魅力を伝える楽しみを感じているそうだ。

また、佐賀にある酒蔵は横のつながりが非常に強く、それぞれの蔵は佐賀の酒をもっと広くみんなに飲んでもらいたいという想いを持つ「同志」だという。お互いに情報を共有・交換し、佐賀の酒を盛り上げるための活動に取り組んでいる。


特別に試飲させてもらいました!



肥前蔵心 特別純米 精米歩合60%
  • ちょっと辛口でキリっとした口当たり。食中酒として美味しくいただける。

肥前蔵心 純米吟醸 精米歩合50% 

  • 口当たりが柔らかく、スイスイ飲めちゃうお酒。りんご系のフルーティーな味わい。

肥前蔵心純米大吟醸「権右衛門」精米歩合38%

  • まろやかでふんわりとした飲みごこち。なおかつ米のうまみもしっかり感じられる。

権右衛門の味わいに感動する2人。米の旨味を最大限に引き出した、まろやかな風合い。

商品の紹介


現在、矢野酒造として製造している銘柄は約15種類。矢野酒造と言えば「肥前蔵心」。純米吟醸は2018年Kura Masterで金賞を受賞した。そして何といっても肥前蔵心純米大吟醸「権右衛門」は2018年Kura Masterでプラチナ賞を受賞した。

本日はその中の一部をご紹介します!

(左)肥前蔵心特別純米720ml 1,200円
(真中)肥前蔵心純米大吟醸権右衛門箱入り720ml 3,500円
(右)肥前蔵心純米吟醸箱入り720ml 1,600円

(左)肥前蔵心特別純米超辛口720ml 1,250円
(真中)肥前蔵心きもと純米720ml 1,400円
(右)肥前蔵心純米酒720ml 1,050円

(左)竹の園大吟醸720ml 2,500円
(真中)肥前蔵心純米吟醸55 720ml 1,353円
(右)肥前蔵心特別純米超辛口雄町720ml 1,300円

第6回 佐賀酒で乾杯プロジェクト開催決定!!


佐賀で知らない人はいないであろう「日本酒で乾杯条例」。全国で初めて制定されたのが佐賀県なんですよ。これを広く県民の皆様に周知いただくために、佐賀県酒造組合の方々が発起人となって開催しているイベント『佐賀酒で乾杯プロジェクト』。なんと今年で第6回目を迎えます!
< 開催内容>
 ① 乾杯会場である事前にエントリーされた県内飲食店に集まったお客様で、佐賀県産の日本酒(「The SAGA 認定酒」)で一斉に乾杯をします。
② 会場各店舗で乾杯していただいた人数の総数をカウントいたします。(乾杯後は、各店舗にて参加者の集計をしますので、ご協力ください。)
③ 開催店舗では、佐賀酒が当たる抽選会やジャンケン大会があるかも!?
<開催日時>
日本酒の日である「2018年10月1日(月)19:00」ジャスト!


詳細はこちら☞  SAGASAKE

蔵の様子



時代を感じる蔵。代々続く矢野酒造。

この蔵でこれまで何本のお酒が造られてきたんだろう。

味のある大きな古時計、素敵だね♪

掛け軸が飾ってあったよ。

時代を感じる酒壺がズラリと並んでいる。

お酒好きのFUMIKA。矢野酒造に行くのを楽しみにしてたの~♪

これまでの受賞歴の数々。

インターナショナルワインチャレンジ2011 権右衛門 銀賞受賞。

こんなに受賞するなんてほんとにすごい!

製造工程を見学させてもらいました!



お酒を造っている製造工程を見学させてもらったよ~!ワクワクだね♪

普段見ることが出来ない光景に興味深々の2人。

お祝いの席で見かける酒樽。とっても大きいね~!

うわぁ~!大きなタンク!1個の仕込みで使う白米の量はワンシーズンでなんと約1トン。33個のタンクで仕込みをしてるから約33トン近くの白米を使うんだって!

矢野酒造は生産量としては小さな蔵だそう。それでも一升瓶に換算すると年間3万5000本~4万本も製造しているんだって!すごいねーー!

酒造りは11月から3月まで。日本酒は時期によって楽しめるお酒が変わるんだよ!12月から2月はできたばかりのお酒を加熱処理せずに出荷する「生酒」。

3月の蔵開きから春にかけて1度だけ加熱処理したものが。夏は夏酒。酸があって割とライトな感じのお酒が出回る。

秋はひと夏超えて熟成した「ひやおろし」。冬は燗に合うようなしっかりめのお酒。

使っている米の品種は10種類ほど。半分が地元産のお米、残りは北海道・富山・岡山・滋賀・山口の契約農家さんから仕入れているそうだ。

米の種類によって、甘みが出やすい米、さっぱりした味になる米など、どういう味になりやすいという傾向があるという。

佐賀のお酒を愛してくださる皆さんに、これからも美味しいお酒を届けたい。今後も矢野酒造のお酒から目が離せない!
名称

矢野酒造株式会社

住所

鹿島市高津原3903番地1

TEL

0954-63-2008

営業時間

9:00~17:00

定休日

日曜、不定休

駐車場

あり

Instagram

☞ 矢野酒造 Instagramページ

アクセス

武雄北方ICより車で約20分

JR肥前鹿島駅より徒歩約5分