2018.4月号

大島 清美さん
佐賀の子供たちの未来を育む、世界中を旅してきた教育家


―佐賀生まれ佐賀育ち―
大島さんは、はじけんばかりの素晴らしい笑顔の持ち主である。一見普通のキャリアウーマンに見える彼女は、国内では佐賀からほぼ県外に出たことがない。だから、日本の他の場所についてはよくわからないと言っていた。しかし、そんな彼女には、ちょっと珍しい経験がある。聞けば、なかなか誰もが成しえない体験だった。それはいったいどのような事なのか?ちょっと順番に並べてみた。

まずは、①メキシコに3週間の旅に出た。プロレス好きの大島さん、そこで本場のルチャリブレ(スペイン語でプロレス)と出会う。②気分が盛り上がり、是非働きたいと笑顔で押しまくりマネージャーとしてメキシコに滞在する。3か月後、素晴らしい思い出とともに帰国。③佐賀新聞社に勤務する。広告部署で働くうちに、スペイン語をもっと勉強したいという気持ちが膨らんだ。④そこで今度は、コスタリカに1年スペイン語の語学留学に渡航。そこでいろんな国の人々と交わる。そして帰国。⑤今度は、外国人を相手に日本語を教えようと日本語教師になるための勉強開始。その時、とある行事でアフリカの人々に出会い民族音楽のバンドを編成する。当然ながら、アフリカに興味を持ち始める。同時に行ってみたい!と思い始める。行くことを決意し、ゾマホンさんが設立した学校の採用試験を受け、情熱と笑顔で合格。⑥ついに、ベナン共和国たけし日本語学校で日本語教師を1年務めた。⑦任期を終え佐賀に帰郷。鳳雛塾に入る。⑧現在、世界で体験したことを元に、佐賀の子供たちを相手に教育活動を行っている。
なんかもう凄くない?言葉にならないとはこのことだ!今時、外国に行くなんてそう珍しくもないが、大島さんの凄いのは、その理由だ。ご自分の中で目的がハッキリと浮かび上がり、そこに行きたい気持ちが沸点に達して飛行機に飛び乗る。この情熱!行動力!こんな風にできたらいいなと、夢で描くようなアクションを現実に起こすバイタリティー。そして、何のツテもなく彼の地へたどり着けば、持ち前の笑顔1つで道を切り開いてきた。佐賀でも異色の経歴の持ち主が、今では、「佐賀の子供たちの未来のために、もっと元気にしたい!」と毎日を忙しく駆け回っている。


笑顔は世界の共通語



大島さんは外国に出向くたびに、そこの人々と触れ合うといつも思うことがあったという。例えば、メキシコでの経験は、言葉もろくにわからないのに、笑顔とほんのちょっとの単語すら、コミュニケーションを取ろうとする気持ちと意欲があれば、世界はどんどん自分よりに変わっていけるのだということ。コスタリカでは、キューバ・フランス・コロンビア人と同居し生活を共にしてきたが、意思の疎通さえ取れればだれとでも友達になれるんだということ。

アフリカでは、いつも笑顔でいることに大切さを学んだ。色々と不自由な生活の中でも、明るく希望をもって前向きに生きる子供たちの姿に、大島さんは感動したそうだ。このような経験を通じて大島さんは、笑顔とコミュニケーションの大切さを熱く語る。「分からない外国の言葉でも、何か一言発するだけでみんなが友達になれる。楽しさが倍増していくんですよ。言葉を知ることで人生の幅が広がる。言葉は、時として人を傷つけることもあるけど、生かすこともできるんだなと感じた時、自身も言葉を伝える人になりたいという感情が芽生えたのです。」


日本語を学ぶアフリカの人々と接して
「天国よりも遠い国、日本」



日本語教師としてアフリカを体感してきた大島さんから、またまた、おもしろい話を聞かせてもらった。ベナン共和国にも日本車は多く走っていて、ラジカセも日本製。空手道場もあれば、「葉隠れ」すら知っている人もいるほど日本は身近に存在する。でも、日本がどこにあるかもよく知らないし、ましてや行くことなど夢の話。ある時、生徒から「先生、日本は天国よりも遠い国なんだよ。」と言われ軽くショックだったそうだ。

大島さんが勤務したのは、実は、テレビ番組でも活躍したゾマホンさんが建てた学校。生徒たちはみな礼儀正しく、登校したら先生にきちんと挨拶をしに来るという。平均寿命は42歳のこの国。決して裕福ではないが、家族や友達に感謝し大事にするという考え方がしっかりとできているそうだ。そんなアフリカでの経験も、大島さんを教育者への道に大きな影響を与えた。帰国し日本の人々の姿を見た時、色々と不自由な国々の人たちはそれでもあんなに明るく元気で過ごしているのに、物に恵まれた日本の人々の方ががっくりと疲れて見えるのはなぜか?「やはり笑顔とコミュニケーションが足りていない!」そんな思いも含みつつ「日本語学校に通っていたアフリカの生徒たちに自慢できるような日本を作るためにも、日本での教育現場で、子供たちの未来に役立つ自分になりたいと思った。」と語ってくれた。そして、今、佐賀の子供たちに世界を伝え、未来に羽ばたけるきっかけ作りとして教鞭をとる日々を送っている。ちなみに、去年だけで大島さんを含め鳳雛塾が授業をした生徒数は4,000名を超えるそうだ。佐賀にこんな人がいるとは!また一つ、佐賀の奥深さを痛感した。


鳳雛塾 事務局長 竹内さん



大島さんの属する鳳雛塾は平成2007年発足。賛助企業は県内のそうそうたる面々が名を連ねている。事業継承者や起業家・大学生へのビジネススクール・キャリア教育事業を行っている。そんな中、子供たちにも社会を体験させるプログラムとして「キッズマート」を実施している。これは町の大人と一体になって、町や商店街を元気にすることを目的に、子供たちと共に地域を成長させる取り組みとして話題を呼んでいる。

KENTO編集長の所感


大島さんと出会った人は誰もが言うでしょう!なんだこの眩しい笑顔は!と。この笑顔とハキハキとしたしゃべり口調だけで人をここまで引き込む人はなかなかいないと思います。圧倒されながら、インタビューをしていくとまたまたアクティブの塊みたいな人ということがわかりました。南米やアフリカを飛び回り、ある時はプロレスラーのマネージャー、ある時は日本語教師と、幅が広いんです。やられている実績がとてつもないものなので、いやこれをマネするのは到底できないよ!と思われるかもしれません。しかし、大島さんの考え方のベースにはLOVE&PEACEに代表されるようなヒッピー的なノリの良さと何もかも楽しむという気持ちで一歩ずつ進まれたのかなという気がします。自分のペースで、自分に直感で生きていく素晴らしい生き方だなと思いました。参考にさせていただきます!私も鳳雛塾のプログラムのように学生時代に大島さんみたいな人が授業してくれてたら、もっと刺激的な生活を送ってたかもしれません。今日は大変ありがとうございました!
 

名称

NPO法人 鳳雛塾

住所

佐賀市本庄町1

オプティム・ヘッドクォータービル2F