取材日時/2021月9月14日
ナビゲーター/HIROMI

コーヒーと酪農のプロが手を組む
スペシャルドリンクに心和むひととき


佐賀県嬉野市塩田町

2021年8月、嬉野市塩田町にオープンした「MILKBREW COFFEE」。ここで提供されるのは水出しではなく〝ミルク出し〟のコーヒー。ミルクはコーヒーの持つ果実味をより引き出し、コーヒーはミルクを選ぶという楽しさを与えてくれる。お互いへのリスペクトと調和した美味しさ、カルチャーを発信する場所。それが「MILKBREW COFFEE」なのだ。(公式ホームページより一部引用)

MILK BREW(ミルクブリュ―)
エチオピア&ナカシマファームミルク(ICE)テイクアウト600円/店内利用612円

MILK BREW5パック入り1,950円
こちらは500~1,000mlの牛乳に浸すだけでご自宅でMILK BREWが楽しめる。お洒落なロゴデザインを手掛けたのは、グラフィックデザイナー・小林一毅さんだ。


佐賀の酪農家・中島大貴さん(ナカシマファーム代表)と福岡のロースタリー・須永紀子さん(MANLY COFFEE)との出会い

ある日、MANLY COFFEE(福岡市中央区平尾)の水出しバックを購入した中島さん。帰宅後、それを水ではなくミルクに浸したことが「MILK BREW」のはじまりだ。浅煎りに焙煎されコーヒーの風味がしっかりと感じられる味わいに感動した中島さんはSNSへ投稿。それを見たMANLY COFFEEの須永さんが「すぐに商品化させてほしい」と、2019年にこのプロジェクトが始動したのだそうだ。


「浅煎りのコーヒーが苦手な方でも、ミルクに浸すとフルーティーな味わいで飲みやすくなります。また、牛乳が苦手な方からMILKBREWなら飲めるという声も聞きます。そうやって相互に価値を高め、リスペクトし合う関係性を確立していくのが『MILKBREW COFFEE』の存在意義だと思います。」と語るのは店長の林田莉奈さん。出身は長崎で、お店の立ち上げを機に移住してきたそうだ。

SPECIALTY MILK(スペシャルティミルク)
ナカシマファームミルク(ICE/HOT)テイクアウト500円/店内利用510円

同店で扱うミルクはその日の朝の搾りたて。ナカシマファームのミルクだ。「店頭に並ぶ一般的な牛乳は、高熱で殺菌処理され、牛乳の中にある脂肪球を濾して均一にするなど、保存性を高める行程を経て市場に出回っています。しかし、ミルクにストレスを与えてしまう行程が含まれるため、風味を損ねてしまうのが現実です。当店のミルクはナカシマファームで搾ったばかりのミルクを、できるだけストレスを与えない行程を踏んで毎朝調達しているので、比べてもらえば味の違いを分かっていただけるかなと思います。」と林田さん。

そして、こだわりは素材だけにとどまらない。「カフェによくある一般的なスチーマーは、高温の蒸気を当ててミルクを温める機械です。しかし、それだとミルク自体に水が入ってしまうこと、局所的に高温の熱が当たることでミルクがもつ香りや風味が失われてしまうという欠点があります。当店で使用するマシーンは、温かいホースの中をミルクがゆっくり通ることで均等に温められ、余計な熱が加わらないので、搾りたてミルクの味わいを最大限に残したまま提供できます。フォームミルク(空気を含んで泡状になったミルクのこと)もこのマシーンで作っています。ミルクの味わいを残すためにあえて全自動化を選択しました。」と、提供するまでの行程へのこだわりも教えてくれてた。


ナカシマファームが作るこだわりのチーズも数種類販売している。

こちらのパンナコッタは先々週登場したばかりのスイーツ。プリン感覚でミルクを味わえる、同店とっておきの自信作だ。

SOFT CREAM(ソフトクリーム)
ナカシマファームミルク テイクアウト500円/店内利用510円
搾りたてのミルクで作るソフトクリームは製造後、一晩寝かせて味をなじませるそう。ミルクの味の濃さと爽やかさを兼ね備えた上品な味わいだ。

ナカシマファームミルク プラス エチオピア テイクアウト550円/店内利用560円
こちらはソフトクリームにコーヒー豆の粉末をかけたもの。コーヒーの苦みとザクザクとした食感がクセになる逸品だ。


同店が入るこちらの建物は、大型町家「杉光陶器店」の三の蔵で、明治末期から大正初期までは塩田銀行として利用されていたそうだ。天井に目を向けると存在感たっぷりの大きな梁が顔を出している。

土壁や柱はあえて手を加えていない。そこにステンレスや人工大理石などの近代的な素材を組み合わせることで、今と昔の調和を視覚的に感じられる空間だ。この異素材の組み合わせと店舗全体の色感は、コーヒーとミルクの調和にも繋がっている。

そして目の前の通りは、江戸時代、長崎・出島から江戸へ砂糖を運んだ長崎街道(通称シュガーロード)。また、有田焼の原料・天草陶石などが荷揚げされた場所でもある。旧街道筋にはかつての賑わいを彷彿とさせる大きな商家や町家が連なる町並みが今もなお残っている。そんな、文化や物流の発信地であった塩田津から、「MILKBREW」というコーヒーとミルクの新しい可能性を、日本、そして世界へ発信していきたいとの想いから、この場所への出店が決まったそうだ。
同店の出店をきっかけに、塩田津を歩く若者や親子連れが増えている。歴史あるこの町並みに再び活気が戻り、時代とともに変わりゆく素晴らしさ、美しさも、ともに発信していってほしいと願っている。

名称

MILKBREW COFFEE(ミルクブリュコーヒー)

住所

嬉野市塩田町馬場下甲727

TEL

☞ 080-3221-0871

営業時間

水 12:00~18:00

木~日 10:00~18:00

定休日

月、火曜

席数

イートインスペースあり

駐車場

塩田津公共駐車場をご利用ください。

※万が一満車の場合は塩田川沿いにも駐車スペースがありますのでそちらをご利用ください。

支払い方法

現金、Paypay

Instagram

☞ MILKBREW COFFEE Instagramページ

アクセス

「佐賀銀行前」バス停より徒歩約1分

JR肥前鹿島駅より車で約10分