旅する音楽市場の拠点
ヒト・モノ・コトを音楽で繋ぐ空間
上有田駅から徒歩約10分の場所にできた一軒家のオープンスペース。澄んだ空気と時々聞こえる鳥のさえずりに心が和みます。そしてパッと目を引く、窓一面に広がる新緑の緑が、雨に濡れて艶やかです。紅葉の季節には南天が赤く色付き、石蕗(ツワブキ)が黄色に染まるそうですよ。
元々湘南エリアの中心部・茅ヶ崎市でライブカフェを経営していたオーナーが2017年に有田町へ移住。2019年6月にオープンスペースとして「Ourhouse」を開業。音楽ライブと物品販売を組み合わせて各地を回る「旅する音楽市場」というブランドを立ち上げたそうですが、コロナ禍においてライブ企画が相次いで中止になってしまいました。
こんな時だからこそ、音楽やアート、作品といった〝カルチャーの大切さを発信していきたい〟との想いで、2021年4月12日にOurhouse内にショップとしての「旅する音楽市場」が誕生しました。ここがどんな場所なのか詳しく紹介していきますね☻
まず玄関扉を開けると昭和の香りが漂うエントランスがあります。
ギターケースの中に入っているリーフレットは、地域もコンテンツもジャンルレスです。
オープンスペースではコーヒーや紅茶、スパイス紅茶などのドリンクがいただけます。
コーヒーは「SATISFY COFFEE(サティスファイコーヒー)」さんのドリップパックを使用。店主が惚れたコーヒーをぜひ味わってみてください☻
ドリンク代はお気持ち分を料金箱へ入れるドネーション制です。
こちらは「ショコラ」という波動スピーカー。あたかも目の前で演奏してくれているかのような、繊細で豊かな音色を放つスピーカーだそうです✨
続いて販売商品の一部を紹介していきます。こちらは「工房Baum(有田町)」さんのお香。手作業で丁寧に作られており自然素材100%。化学物質は一切使用されていないため体にもやさしいお香なんです。
有田町の杉の葉を使った杉香、有田町の檜(ひのき)の葉を使った檜香、カルフォルニア産のセージの葉と有田町の水を使ったセージ香の3種。3つのお香が入ったセットもありますよ。ギフトにもおすすめです。
「botaniko press」さんのポストカード・メッセージカードは、土に根を張る植物たちがイキイキと描かれています。こちらは小さな活版印刷機を使って手差しで印刷しているそうです。
印圧による凹みやインクのかすれ具合など、一枚一枚仕上がりが違うのが手作業ならではの温かみですね。
店主が惚れこんだミュージシャンたちのCDも販売されています。
こちらは江崎掌(えざきしょう)さんのCD「silver back.」。東京生まれでアコースティックギターをかけて全国各地で活動するシンガーです。
その江崎さんが作成したブレスレットもあります。
アンティークのフォークをブレスレットにした、個性的でデザイン性の高いアイテムです。
オープンスペースから奥に進むとお座敷があります。こちらで音楽ライブを開催したこともあるそうです。
これまでに店主が集めたレコードがたくさんあります。
床の間に飾ってあるのは店主が好きなアーティストの作品。音楽だけでなく、アートの教養もお持ちなんですよ。
和室で奏でる音楽ライブ、いつか聞いてみたいものですね。
髙木 ふたばさん
旅する音楽市場 店主/Ourhouse 代表
「以前ライブカフェをやっていたんですが、カフェをやりたかったわけではなくて、若いミュージシャンを引き上げてあげられるような、音楽に特化した場所をやりたいという想いがメインだったんです。5年ほどしてお店をたたみ、住みながらライブ場所を提供できるような一軒家を探していたのですが、条件に合うところが湘南エリアにはなかなかなくって。父の出身が武雄だったこともあり、お店を閉めた区切りでフラッと武雄に足を運んでみたんですよ。そしたら〝あら、佐賀いい場所じゃない。住んでみるのもいいかもな〟と思って。2年ほど佐賀の空き家物件を探して、たどり着いたのがこのおうちだったんです。」と語るのは店主の髙木ふたばさん。穏やかな笑顔の奥に、一本芯の通ったような逞しさを感じる素敵な女性だ。
2017年に越してきてすぐから、湘南のミュージシャンの音楽ライブを「kasane(有田町)」で開催したり、近所の女性陣たちに交じって小規模のうーたん祭りを企画したりと活動的な髙木さん。ライブとマルシェ(髙木さんセレクトの物販)を組み合わせた〝旅する音楽市場〟というブランドが形になったのもその時だ。「コンセプトはブランドごと旅して〝愛〟を伝えること。隙あらば湘南とか東京とかでもやりたいなと思っています。」と、明るい未来を見据えた秘めたる想いを教えてくれた。
2021年4月、ネットではなくリアルで人とつながる楽しさを大切にしたいという思いから、湘南と有田で繋がったアーティストや作家の作品を紹介する場としてOurhouse内に「旅する音楽市場」を開いた。ここに置かれている商品は、髙木さんが好きなもの、この空間に合うものだけをセレクトして仕入れている。「ここは何の店ですか?とよく聞かれます。一応ショップという形態を取ってはいますが、ここが落ち着くな~と思って来てくれればそれでいい場所です。美味しいコーヒーを飲みながら、心穏やかに、ゆるく、柔らかくって感じです。」と髙木さんは言う。
音楽と共に歩んだ60余年
音楽は今も昔も聞く専門。お父様がウクレレを演奏するミュージシャンだったことで、いつも身近な場所に音楽があったのだという。昔はジャズなどの洋楽が中心だったが、結婚・出産・子育てを経て以降は、日本のロックやJPOPの魅力に気づき、銀杏BOYSなど若手のバンドにもフォーカスするように。お子さんと一緒にロック・イン・ジャパンなどの音楽フェスに参戦したこともあるそうだ。
辛い時に手を差し伸べてくれたのも〝音楽〟
「だいぶ昔のことですが、子どものことで悩んで精神的にきつい時期がありました。キャラバンというアーティストがいて、日比谷の野音とかすぐにSOLDOUTするようなカリスマなんですけど、彼の歌や存在があったから乗り越えられたと言っても過言ではありません。彼との繋がりから、若いミュージシャンを紹介してもらったり、直接ライブを見に行くようにもなりました。それから私自身も音楽やライブに直接関わって、色んな人たちにミュージシャンを紹介する場所を作りたいと思ってライブカフェを始めました。今までを振り返ってみると、いい時もダメな時も、私の根幹には音楽があるんだなと思いますね。」と髙木さんは言う。
移住してきて変わったことは?と聞くと、「今までと違う環境で暮らす大変さや寂しさももちろんありますが、時間の使い方が自由になったことで100%インプットの時間に充てることができているのが幸せです。」と髙木さん。コロナ禍において音楽ライブを見に行くことはできなくなったものの、逆にこれまで見ることのできなかった海外のアーティストの演奏をYoutubeのライブ配信で見れるようになったことで、そのひと時だけトリップしている感覚になるのだと嬉しそうに話してくれた。
自分にしか生きてこられなかった人生の中で、自分にしか出会えなかったヒト・モノ・コトとの繋がりから、自分にしかできないことをやるという想いが髙木さんの原動力なのだと感じた。音楽で繋がるご縁から、次は何を企画するのか。今後もOur houseから目が離せない。
名称 | Our house(アワーハウス) |
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住所 | 西松浦郡有田町中樽3-8-15 |
TEL | |
営業時間 | 13:00~18:00 |
定休日 | 木、金曜、不定休あり |
席数 | オープンスペース 5席(座敷あり) |
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駐車場 | 10台以上 ※店舗から50メートル先にある福珠窯さんの駐車場をご利用ください。 |
アクセス | JR上有田駅より徒歩約12分 |