駅という場所では色んなストーリーが生まれる。出会いや別れ、新たな生活のスタート地点だったり帰る場所だったり。
長い年月で紡がれたたくさんの思い出と、これからを生きる私たちの未来が寄り添う、そんな素敵な場所にあるカフェを紹介する。
汽笛音が響く無人駅
築123年の駅舎内の和みカフェ
123年前に建てられた上有田駅は幾度かの改修を重ねながら、今もなお昔と変わらない佇まいで住民の生活の見守っている。そんな駅の構内にある「駅カフェSARAYAMA」。昔ながらの駅舎を残しつつ、賑わいを取り戻したいと「Arita Ceramics Railway（アリタセラミックスレールウェイ）町づくりプロジェクト」が2015年、駅構内にカフェをオープンした。これまで地元の方々や有田窯業大学校の生徒などが日替わりでオーナーを務めてきたが、2018年秋に閉業し、通年で営業できるオーナーを探していたそうだ。そんな時に名乗りを上げたのが現オーナーの岩井さん。娘さんの旦那様が韓国人で、韓国発の「粉雪」というひんやりスイーツを広めたいと出店場所を探していたそう。有田焼の生みの親・李参平が韓国人ということもあり、韓国と縁の深い有田の町で出店することを決め、「駅カフェSARAYAMA」を引き継ぐ形で2019年3月にオープンしたのだった。
しかし、メインはスイーツではなく、店内を走り回るジオラマと有田焼の焼き物なのだと岩井さん。町おこしプロジェクトの代表を務める辻聡彦さんは、聡窯（そうよう）で陶芸家として作陶しており、辻さんの作品で新食感スイーツがいただけるのも同店の魅力。また、ジオラマも辻さん作。有田町を再現したジオラマをせっかくだからたくさんの人に見てほしいと店内に設置したのだった。
店内壁面には、JR九州で走るほとんどの列車が飾られており、実際にジオラマ内を列車が走る様子も見ることが出来る。
電車が好きな子どもにとって、ここは〝夢の国〟。目をキラキラと輝かせながらジオラマを眺める姿は、本当に微笑ましい光景だった。
ななつ星in九州の停車駅だった当駅。「車掌さんが停車中、必ず窓を開けて手を振ってくれて、とっても良くしてくれました。」と岩井さん。現在はルートが改定され、ななつ星が停車することはなくなったそうだが、今でも列車を見に来る子どもの姿がある。また、2018年の有田陶器市には「銀河鉄道999」の作者である松本零士先生がいらっしゃったそうで、店内にはその時のサインと絵が飾られている。毎年11月に行われる秋の陶磁器祭に合わせて、当駅前ではミニSLを走らせるイベントや、有田の町並みの写真展などを開催しているそうだ（2020年11月は現在検討中）。
アップライトピアノや椅子、机など店内にあるものは有田小学校の旧校舎にあった備品。新校舎への引っ越しの際、捨てられそうになっていたものを岩井さんが引き取ったのだという。辻さんや教育員会、町の方々が力を結集してここまで運んでくださったそうだ。「このピアノ懐かしいーー！！」と有田小学校の卒業生が喜んでくれてのが嬉しかったと、目を細めながら話してくれた。
また、カフェの入り口には木製のおもちゃレールセットも置いてあるので、自由に遊んでOK。飼い犬も店前までは同伴可能。ペット用の粉雪（200円）もあるのでお散歩の休息にも利用してほしい。
当駅は地元の人にとっては懐かしい思い出がたくさん詰まった場所。学生たちは通学で利用する生活の基盤となっている。逆に、町外の若い人にとっては見慣れない古い駅舎に新鮮さを感じることもあるだろう。過去、現在、そして未来が生きるこの場所が、この先もずっと残っていってほしいと心から願っている。
「昔からあるものを保存する取り組みや、その場所で今でも商いを営まれているところに有田の魅力を感じます。陶器市の時だけでなく、有田の古い町並みや陶器、古民家を利用したカフェなど、普段から楽しんで散策していただけるスポットがたくさんありますので、ぜひ有田へ遊びにいらしてください。」とメッセージをくれた。
かき氷じゃない新食感スイーツ！？
種類豊富な駅カフェの〝粉雪〟
粉雪とは韓国発のふわふわさらさらのひんやりスイーツ「パッピンス」です！ 「ミルク」を特殊な機械で瞬間凍結させて、それをうすーく削っているので、パウダースノーのようなさらさら食感と優しい甘さが特徴なんです🎵 こちらでは、いちご、白玉あずき、黒みつきなこなどの定番トッピングや、佐賀県産の季節の果物を使ったものなど、20種類以上の粉雪が楽しめますよ❤
秋の新作粉雪
まだまだ暑いけど気分は〝オータム〟へ✨まず期間限定の粉雪の紹介です！
自家製のラム酒漬けレーズンがトッピングされた粉雪です！ アルコールは飛ばしてあるのでご安心を☻ ミルクの粉雪の中に隠れているバニラアイスとの相性抜群✨ 大人味の粉雪をぜひご賞味ただきたいです！
宝石のようにキラキラと輝く「シャインマスカット」がたっぷり乗った粉雪です！ シャインマスカットは伊万里産。とっても甘くてジューシーで、いくらでも食べられちゃいそうです🎵
定番からは人気NO.1「いちご」
自家製のつぶつぶいちごソースに、あっさりめの練乳をかけた粉雪です❤ 絶妙な甘さ加減にMAKIもこの表情！ スーッと口の中で消えるのでかき氷みたいにキーンと頭が痛くなることもないし、何杯でも食べられちゃうくらい軽くて美味しいんですよ❤
タピオカドリンクの種類も豊富
テイクアウトして駅舎でどうぞ
黒糖タピオカドリンク （左）抹茶ラテ550円／（中央）いちごラテ600円／（右）ミルクティー550円
美味しいタピオカドリンクを手に、駅舎やホームのベンチで鳥のさえずりや虫の声、電車の汽笛に耳を傾けてみてはいかがでしょうか？
カフェ内でもガタンゴトンと電車が走る音や、電車の扉が閉まる音、電車を見て喜ぶ子どもの声などが聞こえてきます。とっても和やかな気持ちになる心地の良い場所ですよ✨
| 名称 | 駅カフェSARAYAMA |
|---|---|
| 住所 | 西松浦郡有田町中樽1丁目3-16 上有田駅構内 |
| TEL | |
| 営業時間 | 11:00～18:00 ※売り切れの場合は早めに閉店することがございますのでInstagramにて確認をお願いします。 |
| 定休日 | 火、水曜 |
|---|---|
| 席数 | 8席 |
| 駐車場 | 10台 |
| アクセス | JR上有田駅構内 波佐見有田ICより車で約8分 |