ナビゲーター/HIKARU
取材日/2019年12月12日

透明感あるやさしい甘み
瀬頭酒造が生み出す銘酒「東長」



寛政元年の創業以来、220年の歴史を刻んだ。
初代瀬頭多次兵衛が「丸平正宗」の銘柄で創業。大正9年に株式会社へ。法人化をきっかけに当時の首相・第19代内閣総理大臣である原敬から「酔い心地のさわやかさ、おおらかさは『アズマの国のオサ、すなわち東洋の王者にふさわしい』と「東長」と命名されたそうだ。 以来ずっと、その名に恥じぬ酒造りを続けている。

司令官が愛した「平和の酒」
昭和20年、戦後混乱期の日本でGHQ総司令部主催によるパーティーが開催され、佐賀・有田の陶工である十二代酒井田柿右衛門も招待された。当時、東京は遠く離れた土地であり、情報も伝わってこないため、事情がよく分からず、柿右衛門は親交の深かった瀬頭平八のところへ立ち寄り、最後の酒になるかもしれないと、その晩二人は飲み明かす。翌朝、道中用にと「東長」 を手に列車に乗ったが、車中では飲みきれなかったのか、十二代は酒を持ったままGHQのパーティーに出席。それがマッカーサー元帥の目に留まる。そして、マッカーサーに気に入られた「東長」は GHQの指定商品になった。 戦後、日本とアメリカの平和の象徴となった「東長」。マッカーサーを魅了した酒は、いまも変わらず、多くの人々に愛されている。

(瀬藤酒造公式ホームページより引用)

愛情たっぷりに育った米たち
当蔵は自社栽培、地元農家の米にこだわり、酒米に情熱を注いでいる。自社栽培のお米は社員自ら田植えを行い、そのお米が最高の酒に代わる日を信じて丹精込めて育てている。そしてその中でも〝1等米〟のみを使用しているのだ。そうやって造られるお酒はスッキリとしたやさしい味わい。透明感のある甘みは実に美味しい。

創業以来変わらない「正直な酒造り」
八代目 瀬頭平治さん


以下は小泉武夫さん(東京農業大学名誉教授:農学者、発酵学者、文筆家)との会話の一部。
小泉さん:「100人中お酒の味が本当に分かる人ってどれくらいいると思いますか?」
社長:「半数くらいですかね?」
小泉さん:「良いお酒かどうかがわかるのは1、2人でしょうね。しかし、だからと言っていい加減なお酒を造っていい訳はないですよね。」
社長:「はい。お酒の味を分かってくれる人が少人数であってもいてくれるならば、我々蔵元は〝正直に〟きちんとしたものを作らないといけないですよね。」

瀬頭プライド
消費者の私たちはにとって、酒瓶のラベルやパッケージに表記されている情報が全て。何等米を使っているのか、何段仕込みで作っているのかなど、ラベルに表記しなくてもいい事項は数多く存在する。しかし、「見えないところでも正直な酒造りを絶対にやるんだという創業当時からブレない理念を持ち続けている。」と瀬藤さん。例えば、一流のフレンチレストランで一からブイヨンやフォンを作っているのかどうかは、お客様には見えない部分。でもだからと言って手を抜いていいのか、ということと同じ。大事なのは妥協することなく、美味しい酒を造り続けること。この正直な酒造りこそが〝瀬頭プライド〟であり、このプライドがあるからこそ消費者に愛されるお酒として今なお銘酒として君臨し続けているのだ。


日本一贅沢な酒造り
当蔵では大吟醸・純米吟醸などの高ランクのお酒だけでなく、レギュラー酒と言われる本醸造酒に至るまで全てのお酒を三段仕込みで製造している。米・麹・水の最高の素材を使用し、昔ながらの製法で造り上げるからこそ、米の旨味が濃く、透明感のあるやさしい甘みを感じられるお酒に仕上がるのだ。また、アルコール度数と甘み、米の旨味のバランスを鑑みて、発酵を途中で止めると大量の酒粕が出るのだそうだ。通常、吟醸酒で40%ほどの酒粕が出るが、当蔵ではレギュラー酒で40%が酒粕になるという、非常に贅沢な酒造りを行っている。

醸造酒である日本酒、ビール、ワインは「味がある上に香りが立たないといけないもの」だと瀬藤さん。しかし、味を重視すると香りは少なくなり、香りを立てせようとすると味が薄くなる。このバランスが非常に難しいそうだが醸造酒である以上、しっかりと味があって香りが立つ酒を造りたいのだと教えてくれた。

酒蔵の内部を見学させていただいたが、設備が非常に近代的であることに驚いた。しかし、製造工程や方法は創業当時のまま、昔ながらの造り方を今も継承している。

県外・そして海外への販路拡大
20年程前まではお酒の販売は県内市場だけで十分だった。しかし、県外資本の大手のスーパー・ショッピングモール・ドラックストアが参入してきたことによって、県外・国外のお酒も販売されるようになり、今ではどこにいてもネット注文で全国各地のお酒を買えるようになった。地方の酒蔵が生き残っていくためには県内市場だけではなく、県外、さらには海外への販路拡大が必須となっていったのだった。
現在、当蔵は8ヶ国(アメリカ、台湾、香港、中国、マレーシア、イギリス、フランス、オーストラリア)に日本酒を輸出している。九代目にあたる息子さんと「あと5年もすれば流通は国内と国外、半々くらいの割合になる時代が来るんじゃないか」と話しているそうだ。ぜひ今後も、日本だけでなく世界中の人々に愛される日本酒を作り続けてほしいと願う。 

名称

瀬藤酒造株式会社

住所

嬉野市塩田町五町田甲3117

TEL

0954-66-2014

営業時間

8:00~17:00

定休日

土、日曜

駐車場

あり

HP

瀬頭酒造株式会社公式ホームページ

アクセス

武雄北方ICより車で約18分

JR肥前鹿島駅より車で約8分

五町田バス停より徒歩約5分