ナビゲーター/HIKARU
取材日/2019年12月12日

WorldCheeseAward2019銅賞受賞!
ナカシマファームのBrownCheese



BrownCheese(ブラウンチーズ)
日本で初めてナカシマファームさんが製品化した商品。キャラメルのような甘さと香ばしさ、ピーナッツバターのようなコク、黒糖のようなミネラルを感じる複雑で滋養味がある味わいです。コーヒー、紅茶、クラフトビール、ウイスキーと合わせて召し上がってほしい逸品です。こちらは2019年10月にイタリアで開催された「WorldCheeseAwards2019」で銅賞、「JapanCheeseAward2018」で金賞・部門最優秀賞を受賞しています。

ブラウンチーズとは、ノルウェーでは毎日食べられているという国民食。チーズの製造過程で出る ホエイと呼ばれる水分(原料のミルクからチーズになるのは1割、それ以外の9割がホエイ)で、一般的には廃棄されてしまうもの。しかし、多くの栄養が入っており、廃棄されるのはもったいないという想いから製品化を目指したそうです。

ホエイと同量の搾り立てミルクを銅の窯で6時間煮詰めるとブラウンチーズは完成する。同店の裏手には直営の牧場があり、おおよそ90頭の牛の飼育がされています。搾乳部隊とチーズ部隊が朝5時半に牧場に集合し、1日の作業をスタートさせることで 〝温かい新鮮なミルク〟でチーズを作ることができる。これこそが同店のチーズが愛される所以なのです!

三代目代表 中島大貴さん



「一般的にはミルクを搾ったら鮮度を保つためにすぐに5度以下に冷やします。しかしうちは牧場と加工場の近さを利用して、搾り立ての温かいミルクをそのまま使用しています。美味しいチーズを作るためには、美味しいミルクを美味しいまま加工に回すことが最も大事なことです。」と語ってくれたのは三代目代表の中島さん。

同店では早朝に搾った新鮮なミルクがその日の14時にはモッツァレラチーズへと形を変え、お客様の手に渡るという驚きの仕組みが出来上がっている。その日の朝に搾ったミルクをその日のうちにチーズで食べられる場所は日本中探してもなかなかないのではないだろうか。

2012年にチーズの製造をスタートし、今年8年目を迎えた。中島さんが伝えたいことの1つは「場所コンプレックスなど存在しない」ということ。どんな場所であっても新しい潮流は起こせるし、世界を相手にしたモノづくりはできる、と中島さん。

もう1つは「持続可能な取り組みの大切さ」。チーズに限らず、身近にある資源は有効活用して、無駄なエネルギーを消費しない仕組み、持続可能なモノづくりをこの場所から世界に向けて発信していきたいと語ってくれた。

同店は「 Grass to cheese」を経営理念に掲げている。牛を育てるための飼料稲を自社で生産し、美味しいチーズを作るためにまずは美味しいミルクを作ろうと努力しているのだ。「美味しいミルクを作るためには品質の良い牧草作りが必要です。それには地域の方々の協力が不可欠だと思っています。」と中島さん。

しかし昨今、農業に従事する若者が少なくなっている。そういった地域全体の問題解決にも同店の存在は大きいのではと感じた。例えば、人のための米作りではなく、美味しいミルクやチーズを生み出す〝牛たち〟のための米作りという選択肢の提案。これまでの農業のイメージとは違う一面を見ることで、若者たちの農業に対する捉え方が変わるかもしれないからだ。時代に合った、この土地ならではの農業のカタチが広がり、地域全体で盛り上がってほしいと心から願っている。  

モッツァレラチーズの製造過程を特別に見学させていただきました!


搾りたてのミルクに乳酸菌とレンネット(凝乳酵素)を入れて混ぜます。ここで豆知識ですが、凝乳酵素は元々〝子牛の胃の中〟にあるもの。子牛は母乳を一度プリン状に固めてからゆっくりと消化させます。昔、牛の胃袋を容器として使っていた時代、「牛乳を子牛の胃袋で保存していたらチーズができた」というのがチーズの始まりだといわれています。

レンネットは子牛由来のものと植物由来のものがあり、同店ではどちらも使用されているそうです。

そして固まったものを網ですくい、ギュっと固めます。

それから細かく刻んだものを練り上げます。お湯でよく練ることで繊維が複雑になり、ジューシーさが引き立つのだそうです。それを塩漬けするとモッツァレラチーズの完成です!

自家製チーズの紹介



製造されている商品を紹介します。

※商品は店頭だけではなく、県内各地に取扱店もございます。詳しくは公式ホームページをご覧ください。☞ 詳しくはこちら

Mozzalera(モッツアレラ)
搾りたての温かいミルクからつくるフレッシュでミルキーなチーズ。サラダにも合うし、柿やみかん、桃などの季節のフルーツと合わせてカプレーゼにもGOOD!

Omiso(みそ漬けモッツアレラチーズ)
現社長のお婆様が立ち上げられた加工所「唐泉の恵み」の味噌に漬け込んだチーズです。そのまま切って小ねぎをトッピングしてお召し上がりください。また、茄子やきのこなどの炒め物にも合います。日本酒のおつまみとしても最高ですよこちらはJapanCheeseAward2018にて銀賞を受賞。

Aojiso(青じそモッツアレラチーズ)
モッツァレラに青じそを巻いた薫り高い味わいの逸品です。乳の脂肪分がしその香り成分をより引き出す役割をしています。切ってそのままでも十分美味しいですし、パスタやハンバーグに乗せて和テイストのアクセントにしても◎。こちらはJapanCheeseAward2016で銅賞を受賞。

Shirokabi(シロカビ)
ふわふわの外皮にしっとりした触感。搾りたてのミルクから作るので、クセがなくシロカビによる熟成の香り、ミルキーさが際立ちます。ブルーベリージャムをかけると、チーズケーキのような味わいに。もちろんワインとの相性は抜群です。

今回特別に試食させていただきました。

「白カビ」という名前を聞いてちょっとびっくりしましたが、全然臭みがなくしっとりした舌触りで瑞々しい感じがしました♪ とっても美味しかったです!」と感動した様子のHIKARU。

フロマージュブラン
少し酸味のある爽やかなフレッシュチーズです。ジャムやハチミツと合わせてデザートに、オリーブオイルや黒コショウをかけてサラダに、サワークリームのようにも使えます。でも一番美味しいのはグラニュー糖をちょっと多めにかけ、洋酒を少し垂らす食べ方だそうです。

ドライフルーツチーズ
上記のフロマージュブランにドライフルーツを合わせたデザートチーズです。ドライフルーツが水分を吸うので〝半生〟のような状態なのです。まるでチーズケーキのような美味しさがあります。こちらはJapanCheeseAward2016にて銀賞を受賞。

Gochoda(五町田セミハード4ヶ月)
3ヶ月以上熟成したセミハードチーズです。ミルキーさと熟成ならではのじんわり薫る旨味があります。モッツアレラを混ぜてチーズトーストにすると最高の美味しさに仕上がります。ワインと合わせてどうぞ。こちらはJapanCheeseAward2018にて銅賞を受賞。

Sakeru(さけるチーズ)
新鮮なミルクから作ることでミルキーでしっとりとした触感の裂いて食べるチーズです。細かく裂き、ふわっと空気が入るように丸めて食べるのがおすすめです。出来立ての一本まるごとタイプもあります。
名称

ナカシマファーム

住所

嬉野市塩田町大字真崎1488

TEL

090-5293-8680

営業時間

10:00~16:00

定休日

月、木曜

駐車場

5台

HP

ナカシマファーム公式ホームページ

アクセス

JR肥前鹿島駅より車で約10分

祐徳バス「真崎(まつさき)」バス停より徒歩約9分

嬉野ICより車で約20分

備考

出来立てモッツァレラは火、金曜の14時から販売。