2018.11月号
ナビゲーター/HIKARU & SAORI

有田焼をもう一度。
2016/



2016年秋10月からオープンし3年目を迎えるこちら。女性の共感で動きが起きる、そういう時代に若い女性がマネジメントしているおもしろい有田焼のお店だ。全体の名称として有田セラミック、セラー(売る)という意味から名付けられた「アリタセラ」という焼き物の専門エリアには、全部で22店が軒を構えていてその中の一つだ。

現代の生活に合う有田焼のスタイルを追求し、斬新なアイディアと魅力的な形が目を惹く商品たちはなかなかに興味深く感じた。 アリタセラのパーク内に22店が軒を連ねる中、一際斬新なイメージだ。


有田焼を未来へつなぐには。
2016株式会社 ブランドマネージャー 陣内さん



デザイン学校を卒業後、東京や京都で建築やデザインの仕事を経験し、2016年に帰郷した陣内さんは武雄市出身。ブランド全体のディレクションをつかさどり、このお店における管理を一任されている。お店のディスプレイやビジュアル、グラフィックに至る総括的なプロモーターであり全体のマネージャー的存在だ。デザイナーアシスタントとして「2016」のプロジェクトに参加するまではマネージャー的な仕事はしたことなかったそうだが、このプロジェクトは「デザイン」が最も重要なブランドであるため、京都や東京のデザイン事務所で空間インテリアの仕事をしていた経歴が評価され、現在のポジションで活躍している。こちらのお店の有田焼は、従来の有田焼とは大きく外見も機能も異なる。全く別発想で作られたように感じるものが多い。だから、ここに並ぶ商品を眺めているうちに素朴な疑問が湧き上がってきた。

有田焼らしさ?未来のカタチ?

若い人と年配の方の間には必ずといっていいほど世代間ギャップによる価値観の違いが生じることは否めない。これを焼き物の世界でいうなら、絵付け技術などは継承されなければならない言わば「伝統」だ。それを守らなければ、ブランドではない。しかし、そのブランドが受け入れられない状況になった時、ブランドは生き残る道を探し始める。というのも、ある時期の隆盛から比べると有田焼の現状は衰退していると、次世代を担う若手作家たちは危惧している。その要因は、時代に合わせた食器を作ってこなかったということにあると考えられている。1700年代にさかのぼると、かつてはオランダやヨーロッパの人たちが買っていた有田焼。

要望に合わせて造り輸出するという、その要望に応えられる技術力は大変高い評価を得ていた。その一番の特徴は、高級感がある細かい絵柄にあったと言われている。しかし、今やそのような商品は時代や食文化の変化とともに需要が減少しているのが現状だ。そこで、現代の生活に合う有田焼のスタンダードブランドを創るべく、世界で活躍するデザイナーと商社・窯元が結集して、この「2016/」が生まれた。その結果出来上がった焼き物たちがここに集結しているのだ。

今後の有田焼きに必要なものは何なのか?

デザイナー達が考えた末に「絵付けはいらない」と判断した。大胆な結論。「それじゃ、有田焼じゃないじゃん!」って言われる方もいると陣内さんは続ける。でも、参加したデザイナーたちがフォーカスしたのは絵付けではなく、有田焼としての技術の方だった。技術は紛れもなく有田焼の技法を取り入れ、かつ、現代生活に受け入れられる様式の器をプロダクツすること。垂直のライン、薄さ クオリティーを形に落とすのは有田でしかできないという自負のもと、技術力は需要に対応できるいろんな顔を持っていると自信を語ってくれた。なるほど、古めかしい見た目だけの価値からの脱却、という発想も若者らしくて未来的だと感じた。


新しい有田焼を体感
美味しいコーヒーはいかが?



器の良さを知ってもらうにはまずは使ってもらうこと。

ここで扱うブランドの器でいただくコーヒーは、心が落ち着き、いい気分にさせてくれましたよ。

ドリップコーヒー 500円
  • 一緒に出てきたチョコレートも濃厚で美味しい♡

カフェスペースもスタイリッシュ。これまでの有田焼のイメージとは全く違う印象だ。

2016/はもちろん、アリタセラを散策した後、ホッと一息休憩はこちらでどうぞ♪

ギャラリーの様子



「2016/」は有田焼の技術や歴史を継承しながらも、これまでにない現代的な器とデザインのシリーズを開発。

有田焼のイメージがガラリと変わるギャラリーだね。

器って見せ方が大切だよね。でもそれって本当に難しい。

どこか倉庫のような雰囲気を感じさせる空間が斬新的でいいね。

有田焼で作られたブレスレットも販売していたよ! 可愛いね♡

無地の器はお料理を引き立ててくれるからおうちごはんで使いやすいよね!

斬新なデザインと、高い機能性を備えたアイディア商品の数々。

これまでの概念を覆すような、すりおろし器。

一風変わった可愛い醤油さし。

こんなに傾けても、蓋が落ちない斬新なティーポット。
 

色も形も今までの有田焼とはちょっと違う。

インスタレーションされた作品の数々。

何に使おうかと、ワクワクしてしまう器たち。
名称

2016株式会社

住所

佐賀県西松浦郡有田町赤坂丙2351-169  赤坂有田焼卸団地

TEL

0955-42-2016

営業時間

9:00~17:00

駐車場

有田焼卸団地大駐車場 800台

HP

☞ 2016/ホームページ

アクセス

有田駅より徒歩20分

波佐見・有田ICより車で約5分