2018.11月号
先人たちの「志」を現在、
そして未来へ。
 
明治維新150年の説目に、新たなまつりが佐賀に生まれた。
佐賀ゆかりの偉人たちに扮した時代行列と、
灯りの演出で彩る県民参加型のイベントだ。 

さが維新まつり
偉人たちの「行列」と「ともしび」



このさが維新まつりは、開催中の肥前さが幕末維新博覧会の趣旨にのっとり、先人たちの偉業を佐賀県民の皆さんに広く知ってもらい、その「志」をこれからの地域づくりに受け継いでもらえたらと企画されました。佐賀県、市や町などでつくる「肥前さが幕末維新博推進協議会」が主催し、このまつりの運営には友好青年5団体のメンバーと佐賀大学の学生たちが協力しています。
佐賀県は、このイベントは一過性のもので終わらせずに、佐賀県を代表する新しいまつりとして定着させることを目指しています。10月20日、当日は16時45分から、佐賀市城内の佐賀城本丸歴史館・鯱の門前広場で「さが維新行列」の出発式がありました。往路の行列が到着した「こころざしのもり」ステージでは、明治の三筆の一人と言われる書家・中林梧竹に扮する書道家・山口芳水さんがダイナミックな書の演舞を披露。会場からは感嘆と称賛の声が漏れていました。

出発式を終えると、佐賀ゆかりの偉人たちが佐賀城本丸歴史館・鯱の門前広場から県立図書館南側の広場「こころざしのもり」までの往復約1.2キロを練り歩きました。

まつりのフィナーレとなる鍋島直正公銅像前では、18時40分から「灯りの空間演出」の点灯式が行われましたよ。子どもたちが作ったランタンや和紙でつくられた灯りのボールが銅像周辺を鮮やかに彩り、佐賀大学の学生が制作したプロジェクションマッピングで、未来に向けたメッセージを発信してくれました。

地元の企業など191の団体・個人からの協賛により飾られた提灯が行列の道行きを温かく照らしていました。今日はさが維新まつりの様子を詳しくリポートします!


さが維新行列
佐賀ゆかりの偉人35人を見事に再現


佐賀を想う人々の気持ちがこんなに集まるとは予想だにしていなかった、というのが正直な感想でした。佐賀県の凄い人、凄いものが一堂に会し、迫力のあるイベントに仕上がっていて、取材していて本当に佐賀を誇らしく感じました。


佐賀にゆかりの深い偉人たちが街を練り歩く「さが維新行列」は、江戸期から近・現代までの壮大な歴史絵巻のよう。佐賀藩の精神的支柱となった「葉隠」の口述者・山本常朝や、幕末の佐賀藩を雄藩へと押し上げた10代藩主鍋島直正、藩校弘道館(こうどうかん)が輩出した大隈重信ら佐賀の7賢人、さらに医学、建築、工学・化学、実業家、社会教育家といった多彩な分野の隊列が続きました。
行列に登場した歴史上の人物は35人。行政や議会、経済界などから選ばれた県内の名士たちがそれぞれの時代の衣装を身につけ、本人になりきるのも見どころでした。

道中、伝統芸能として、綾部神社(みやき町)の行列浮流と執行分(鹿島市)の鉦浮立が花を添えました。また、「こころざしのもり」から鍋島直正公銅像前までの復路では、一般の参加者や手作りのランタンを持った小学生たちも加わり、総勢700人以上のにぎやかな大行列となりました。

ゲストに女優・三根梓さん



さが維新行列には、ゲストとして佐賀県出身の女優三根梓さんが佐賀藩最後の藩主・直大(なおひろ)の妻栄子(ながこ)役で登場しました。現存する栄子夫人のドレスをもとに造られた艶やかな衣装を着用し、人力車で行列に参加しました。

往路の行列が到着する「こころざしのもり」ステージでは、直大役を務める山口祥義知事とのミニトークショーも行われましたよ。

「佐賀の新しい時代の幕開けに立ち会うことが出来て、こんなに嬉しいことはないです。」と、とびっきり可愛らしい笑顔を見せてくれた三根さん。実際の栄子夫人着用のドレスは佐賀市の徴古館で11月5日まで展示中ですよ。

さが維新おどり
新旧融合! 時代の息吹を体現


踊りを通して幕末維新期の偉人たちの志を表現しようと創作された「さが維新おどり」。県内全域から公募で集まった小学2年生から60歳までの約70人が、エネルギッシュな踊りで時代の息吹を見事なまでに表現していました。


日本的な和の踊りにジャズやヒップホップ、コンテンポラリーなどを組み合わせた踊り。ダイナミックでキレのある動きに思わず目を奪われました。踊りの前半部分では、勇壮な太鼓の響きや激しい振り付けで、動乱期の不安や偉人たちの強い意志を表現していましたよ。
後半では曲調が一転! クールで明るいメロディーが、希望に満ちた未来を想像させてくれました。「さが維新おどり」は、振り付けを簡略化した“総おどり”を一般に公開する予定だそうですよ。今後も県民に踊り継がれることでしょう!

この維新おどりの振り付けを担当したのは、「スガジャズダンススタジオ」(高知県高知市)の國友裕一郎さん。「幕末維新期の佐賀の偉業を伝え、次代に語り継ぐきっかけになるような踊りを目指した。踊り手たちが一つになって踊る姿を見て、その思いを体感してほしい」とおっしゃっていました。

諸富家具とコラボ 新楽器「カチカチ」


踊り手たちが両手で打ち鳴らすのが、「カチカチ」と呼ばれる打楽器。さが維新おどりのために開発したオリジナルの打楽器です。親指と中指で板の局面をたたき合わせると、県鳥カチガラス(カササギ)の鳴き声のような音が出るものです。クルミ材と県産のヒノキを使い、カチガラスの黒と白の羽色を表現しています。琉球古典舞踊の「四つ竹」にヒントを得て、佐賀県工業技術センター諸富デザインセンターの協力で諸富家具振興協同組合が70セットを制作したそうです。佐賀生まれの新たな「鳴り物」がまつりをにぎやかに演出しましたよ。


フィナーレは灯りの空間演出
幻想的な光の競演


さが維新まつりのフィナーレを飾る「灯りの空間演出」。テーマは「たまゆいのひかり~受け継ぎ芽吹く未来へ~」。大小さまざまな灯りと壮大なプロジェクションマッピングが、会場全体を幻想的な光で包み込みました。

鍋島直正公銅像を囲むラウンドスクリーンに、佐賀大学生が制作した映像がプロジェクションマッピングで投影されました。映像は、光の玉が生まれて成長する様子をイメージしたもので、周囲の灯りとも融合し、独自の世界観を見事に表現していました。


銅像の周囲には子どもたち手づくりのランタンや、佐賀大学の学生が制作した和紙製の球体の光のオブジェを配置。重層的な光の演出が見る者を魅了しました。

また、会場には、260年以上の歴史を持つ「浜崎祇園祭」(唐津市浜玉町)の山笠も登場し、まつりの一番の見せ場である「おおまぎり」を披露してくれました。

灯籠に照らし出された高さ約15メートル、重さ約5トンの国内最大級の巨大な山笠が車輪をきしませながら旋回する様は圧巻。会場を彩る灯りと山笠のコラボレーションには目を見張りました!

灯り作りは手作業


空間演出をプロデュースするのは、佐賀大学芸術地域デザイン学部の学生たち。手作業でちぎった和紙を一枚一枚貼り付けた、灯りとなる球体「たまゆい」をつくり出したり、プロジェクションマッピングのプログラミングをしたりしたそうです。また、会場に並ぶランタンを小学生らが制作するワークショップも学生が主導。ランタンの淡い光が、子どもたちが描いた将来の夢や未来へのメッセージが浮かび上がらせました。

2018年3月17日 - 2019年1月14日
開催中!
名称

肥前さが幕末維新博覧会

平日お問合せ

肥前さが幕末維新博推進協議会

TEL:0952-25-7504

8時30分~17時15分

E-mail: sagaishinhaku@pref.saga.lg.jp

土日祝お問合せ

運営本部

TEL:0952-37-0181

9時30分~18時

E-mail: ishin-unei@sagaad.jp

入場券に関するお問い合わせ

入場券販売管理本部チケット管理センター

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9時30分~18時 

年中無休

E-mail:saga-ishinhaku-tkt@kys.jtb.jp

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