2018.11月号

野崎広大さん
九州プロレス所属 レスラー


佐賀県唐津市出身。小中高は柔道部。父がプロレス好きで幼いころからプロレスをよく見に行っていたそうだ。

男にしかわからない世界があるんだ!


実際の修練は、本当にキツイ。でも、技を受け切ってこそのプロのレスリングなのだ。 まさに体が資本。ケガをしないためにも体を鍛える。 触ってみてビックリした。なんてしなやかな筋肉なんだ。
どうしてまたプロレスの世界に飛び込んだのですか?と率直に聞いてみたら、子供の頃からの憧れだったと答えてくれた野崎さん。でも、理想と現実にある大きなギャップを感じたそうだ。そのギャップとは、練習のキツさにあった。野崎さんは高校時代は柔道家として地元では有名な強豪選手だった。だからプロレスの練習がきついと聞いても、そんな練習にも耐えられると思っていたそうだ。

ところが、実際にその身で連日続く鍛錬の日々を味わうと、「これがプロか・・・」とさすがに大変さを実感したらしい。また、肉体を駆使して繰り広げるスポーツであると同時に、お客さんを喜ばせるエンターティメントでもあるので、技をかけあうことがゲームの基本というプロレス。つまり、対戦する相手の技をどこまで受け切れるかが見所となるし、勝負の分け目であるため、肉体をしっかりと作り上げておかなくてはならない。だから、ただ筋肉を付ければいいのではなく、上質な筋肉を作ることが重要。触ったらわかる柔軟なマッスルは、大きな衝撃を吸収しボディーへのダメージを軽減するし、無理な体制にも耐える、などプロレスには絶対不可欠な基本的要素なのだ。野崎さんのボディーも見た目はごっついが、このしなやかな筋肉によって覆い包まれているのだ。

プロレスをやることに対し将来的不安はありませんでしたか?と尋ねてみた。やはり最初はあったらしい。でも野崎さんが所属する九州プロレスは、NPO法人で地域活性化のための活動も行っている。例えば、施設慰問などもその一つ。「自分たちの力強い肉体から、みなさんに明るい希望を与えられたら嬉しいし、そんな活動を定期的に行っていますよ。」と、少しお茶目にはにかんだ野崎さんだった。

ご自身について

出身は佐賀県唐津市。九州でプロレスラーになって、九州の人たちに勇気を与えられる存在になれればという想いを持っている。「唐津くんち」は昔はよく行っていた。地元愛は強いほうだと思う。プロレスラーになって2年が経った。きついことも多い毎日。だけど、なんだかんだ試合をやると楽しい。勝ち負けの嬉しさ悔しさはあるけど、毎試合終わるたびにやっててよかったなと思う。

日頃の活動

レスラー兼営業に勤しむ毎日。営業とは後援会企業に出向き、スポンサー集めをすることだ。1日の動きとしては、朝起きて事務所に出社し、事務作業があれば片付けてから練習に入る。午後も練習や事務作業の後、体のケアを行う。そして、また夜の練習。だから、仕事をこなしながら1日最大5時間半~6時間の練習をするのだ。


1ヶ月の活動としては、基本的に週末は興行試合。11月は長崎シリーズとして長崎県内だけで4箇所で試合を行う。そんな感じで、1ヶ月に平均2~3試合、多いときで5~6試合をこなす。「結構きついっすよ、乗り切るのは気合ですかね。」と笑顔の野崎さん。でも、体への負担、ダメージは大きすぎる。レスラーにとって腰が一番弱い部分。背中から落ちても当たるし、エルボーされた時の夜は堪らなく痛いそうだ。

将来はどんなプロレスラーになりたい?

野崎さんは「自分は信念や意志は強い方だと思う。」と言っていた。精神的にも肉体的にも、野崎さんにとって強い人の象徴だった「プロレスラー」。だから、現在21歳の野崎さんは〝人間として強い人の象徴だ〟と思ってもらえるような、そんなプロレスラーになりたいそうだ。プロレス界はデビューする前の練習生期間に、およそ7割が辞めてしまうようなとてつもなく厳しい世界。入門してくる若い人の中には華やかな面しか見てなくて、すぐやめてしまう人が多いそうだ。野崎さんに言わせれば、戦うまでに登らなければならない無数の階段があるのを分かってないという。練習生の間は基礎体力ばっかりで、リングに上がることもできないのが当たり前のこの世界。でも、その時期を乗り越えて初めて見られる景色がその先にあるのだ。そして、応援してくれるお客さんの声援を聴くと「ほんとやっててよかったと毎回思う。」とにっこりはにかむ野崎さんだった。


KENTO編集長の所感


軽く持ち上げられてしまった…なんという怪力だ。体の骨格がゴツいのとかなり特徴的な髪型なので、取材でないとなかなか話しづらい…かな?笑 そんな野崎さんですが、見た目と中身と年齢のギャップがありすぎてびっくり。インタビューしていると芯の強さと、21歳とは思えないしっかりとした考えをお持ちで、「プロレスの力で九州を元気にしたい!」という想いを熱く語ってくれた。私自身、実際にプロレスを生で見たことがなく、プロレスのルールもいまひとつよくわかっていなかったが、今回の取材で野崎さんにプロレスの楽しみ方を教えていただいた。まず、プロレスは「生」で見た方がいいということ。テレビよりも生の方が3倍は楽しめるということ。そして、プロレスならではの「受けの美学」。受けて耐えることもプロレスの醍醐味だということ。改めてそういうことかとわかった。こんな大きな体でも一応痛いらしいです(笑)ぜひみなさんも会場に足を運んで、唐津出身の野崎選手を応援しましょう! 取材にご協力して下さいました野崎さん、九州プロレスの皆さん、ありがとうございました!

名称

NPO法人 九州プロレス

住所

福岡市東区多の津5-20-1