ドキドキ、ワクワク。はやる気持ちを抑え、勇気を出して扉を開くと「カランコロ～ン」とどこか懐かしさを感じるドアベルの音色が響いた。

ここは佐賀市北川副にある純喫茶「覇薇可否道（はらこーひーどう）」さん。

福岡県飯塚市に本店があるそうで、創業はというとなんと昭和56年。いまどきというよりは昔ながらのという印象が強い、「THE 喫茶店」だ。カウンター席に座ると、店主さんがネルドリップで珈琲を淹れていた。

壁にかかった振り子時計やランプが、懐かしい昭和の時代を彷彿させる。

※表記はすべて税込み価格です。
※2019年10月1日より価格が変更となりますのでご注意ください。

「この30年間、時代は流れましたがスタイルを変えずに、お客様目線に立つことを常に念頭に置き、美味しいものを提供してきました。たくさん勉強もしましたよ。」と話してくれたのは、店主の原千代美さん。
原さんはマイルドブレンドコーヒーが一番好きだそう。同店で提供されている単一品種も全てスペシャルティコーヒーなのでストレートでも飲みやすいが、それをバランスよくブレンドしているのが、マイルドブレンドコーヒー。もちろんブレンドも自分たちの手で行っていて、4つの品種を混ぜ合わせているそうだ。

昨今よく耳にする〝スペシャルティコーヒー〟というフレーズ。産地や生産者が公示してあるものを言うらしい。珈琲豆を生産しているのは赤道直下の後進国が多いから、以前はどこからどうやってきたものなのか分からないものが多く、安心安全なものとは言えなかったのが正直なところ。しかしここ10数年で、豆の質も良くなってきて、産地や生産者が特定できるスペシャルティコーヒーというものが確立されてきたのだという。わかりやすく言えば、野菜の生産者が表示されていると安心するのと同じようなもの。
また、珈琲豆の木は28℃以下になると枯れてしまうという衝撃の事実。28℃という最低気温が保たれている場所でしか生育できないものなのだと、原さんがコーヒーに関する知識を優しく、そして丁寧に教えてくれた。

いつ、どんな時もそこにある、自分だけの癒しの空間、それが純喫茶なのだと取材を通して感じた。これを機に佐賀の純喫茶巡り、してみたくなった。