編集長KENTOの対談コラム


次世代のリーダー



松尾容子さん=405
画家・イラストレーター・クリエーター


デジタルアートを使いこなす凄い作家さんと出会った。彼女の絵は、その配色やデザインなど、全てが新しい分野のモノ。そう、全てパソコンで描かれているのだ。松尾さんはなんと、1歳の頃から絵を描き始め今に至っている。もはや息をするのと同じくらい生活の一部と化しているそうだ。
 

様々なジャンルの依頼を受け描く松尾さんの絵


絵というと筆やペンをもってキャンパスに向かって書く、みたいな一般的な概念は、もはや古い感覚であることを松尾さんの絵はしみじみと教えてくれた。

これは松尾さんの仕事道具。8年ほど前のmac book proにPhotoshopCS6を入れて、 14年程前にお父さんに買ってもらったWACOMのFAVO CTE-440を愛用しているそうだ。 タブレットの表面が滑りすぎるので、A4用紙を4つ折りにしてマステで貼り、あえて摩擦を作り使用しているとのこと。良い作品に真摯に向かうご自身の努力と工夫が伺える。

KENTO編集長もiPadに映し出されたピクチャーが全て松尾さんの作品であることを珍しがる様子で一点ずつ拝見していった。その配色の鮮やかさ、デザインの整合性などパソコンで描かれた作品ならではの、決して手書きの絵画にはない独特の風合いを醸し出していた。
また、繊細なタッチや世界観はきっと松尾さんならではのものだろう。どこか幻想的で異次元だけれども引き込まれる美しさを感じた。特に、人物が描かれた作品などは人物の目の表情が実に無機質なように感じるのだが、しかし、全体では温かさを保っている不思議さにいささかの戸惑いを覚えた。これが特質というものだろうか。

松尾さんのこれまでのルーツ


高校生から画家として出来上がっていた!?
高校生の時に描いた絵を見せてもらった。その頃の松尾さんが描いた人物像にはモチーフがいたりいなかったりするそうだ。今でも、インスピレーションで作風は様々に異なってくるそうだ。だから、なかなかバラエティーに富んでいて、どの作品も興味深く眺めることができて楽しい。そんな松尾さんは、色々なクライアントさんから作品の作成依頼を受けている。まさに知る人ぞ知る人気画家なのだ。
現在の活動の一つとしては、博多の某デパートで数人のアーティストさんたちの絵画展が行われているが、そのアーティストに選ばれて松尾さんの作品も展示販売されている。
とはいえ松尾さんは現在、佐賀新聞社でデザイナーとして働いている。一見アウトローなのか?と思いきや、かなりしっかり者の一面も見せてくれた。
実は、高校卒業後は音楽専門学校に進学
一時期、絵を描くことから逃げたくなった事があるそうで、少しだけ音楽の道に走ったそうだ。音楽の専門学校で学んだ楽器はドラム。このルックスでドラマーなんて、ちょっとカッコイイ。でもやっぱり絵を描くことを忘れられなくて、音楽をやりながら少しずつ日常的に絵を描いていたら絵描きの道に戻って来たそうだ。その流れから最初の就職先は地元・嬉野市の広報活動をする会社「うれしの元気通信」のデザイナー。その後、佐賀新聞社に入社し今も、デザイナーとして新聞紙面の構成で活躍中だ。

どんな人に興味をもつのか?
自分と全然違う脳みそを持った人だと言い切った松尾さん。全然違うことをしながら、でも人生の目標は同じ方向を向いていたら最高だそうだ。

KENTO編集長の所感


405さん。話せば話すほど面白い方。綺麗な色の絵を描かれる画家さんだなあと、思って興味を持ったのが最初のきっかけだった。
しかし、その絵はデジタルアート。アナログの絵は、実際にペンで描いた部分に絵が浮かんでくるが、デジタルアートの場合は、描いているパッドの部分と映し出される画面が別々の場所なので、また違った感覚なんだろうなあと不思議に思いながらこのインタビューも興味深くいろいろと聞いてみた。
経歴も面白く、佐賀新聞社で働きながらアーティストとしても活躍されている405さんだが、彼女の人生に対する考え方も素敵だった。今の会社で学んでいることが、アーティストとしてのスキルを習得するきっかけにもなっているとのことで、そういう環境で働かせていただいている会社にとても感謝されていた。会社と405さんの信頼関係があってからこそ成り立つ働き方だろう。これからの時代の働き方の最先端をいかれているような気もする。
このコーナーは次世代のリーダー。佐賀の今後を作っていく人材の集まりである。まさしく405さんは佐賀のアート界のみならず、佐賀の若手を引っ張っていく存在になるだろう。
一緒に佐賀を盛り上げていきましょう!