2017.10月号
ナビゲーター/MAKI

大串製菓店
三代目 大串 久昭さん



大串製菓店は 1919年(大正8年)創業。あと2年で100年になる老舗菓子 店。まるぼうろなどの和菓子を中心に販売している。10年ほど前までサラリーマンをしていた大串さんは、店の3代目だ。 11月で販売から丸5年を迎えるひしぼうろだが、大学や市のバックアップのおかげもあり、大ヒットとなった。開発には丸1年かかったそうで、大串さんはやっと出来たという嬉しい気持ちもあったが、1年もつのだろうか・どこまで続いてくれるかと不安な気持ちもあったそうだ。

だが、メディアでの紹介もあり、ピーク時には「もう作れない」というほど電話が鳴り続け、ついには電話線を抜いてしまうほどだったという。現在は1日に約1,000枚、多いときにはその倍を焼いている。生地を作る際、手作業で三日月型に型抜きをするのに手間がかかるそうだが、型に入れて焼くと味が変わってしまうため、手間をかけても美味しく仕上がる方を選んだそうだ。大串さんは「地元で愛される神埼市の銘菓・ひしぼうろとして、10年・20年続くようなお菓子にしたい。」と目を細めながら語った。


まるぼうろに神埼の和菱を
始まった銘菓づくりへの挑戦



破棄されていた菱の皮を有効活用したい。そんな思いから7年前、銘菓の開発は始まった。西九州大学の安田 みどり教授から神埼市への依頼であった。神埼の特産物である菱(ひし)は平成21年からその実で焼酎を作っているが、それまで皮は破棄されていた。しかし教授の研究で、和菱の皮には実よりもはるかに多いポリフェノールが含まれていることが分かった。

ワインなどに含まれていることで有名なポリフェノールだが、その機能性としては、抗酸化作用・老化防止・糖尿病予防・高血圧予防・肥満予防・美白効果など健康と美容に効果があると言われている。試作に入って少し経ってから、西九州大学・神埼市・神埼市菓子組合で産学官連携を立ち上げることになった。お菓子作りは大串製菓店3代目の大串 久昭さんが担当。まるぼうろに和菱の皮を混ぜ試作をしてみると、和菱の皮は水分を吸うことが分かった。焼き上げて1~2時間経っただけで、3週間放置した丸ぼうろのようにカチカチになり、ただ混ぜるだけではうまくいかないことが分かった。そのため、でんぷん・水あめ・蜂蜜などの配合を変えたり、菱の配合を3%・5%・7%と変えたりなど試行錯誤したそうだ。ようやく原型が出来たら次は官能検査。一般の方や大学の生徒約100人に、味や食感の違うひしぼうろを何度も試食してもらった。そしてついに、もっちりで甘すぎない今のひしぼうろが出来上がった。当初は丸い形にひし応援キャラクターである「ヒッシー君」の焼印を押していたが、大学側の意向で販売1ヶ月前に和菱の形に似せた三日月型に変わった。袋のデザインや販売促進の面では神埼市が全面サポートした。販売開始に至ったのは、開発を始めて1年後のことだった。


乾燥した和菱の実。中身は焼酎に、皮は洗浄・粉末にしてひしぼうろに練りこまれる。

クリークでの菱の実の収穫風景。9月下旬~10月まで、「ハンギー」と呼ばれるタライに乗ってひとつひとつ摘み取っている。

県内の主な販売店


道の駅 大和 そよかぜ館
道の駅 吉野ヶ里 さざんか千坊館
水車の里・水車の里遊学館
JA産直 街かど畑
モラージュ佐賀
イオンモール佐賀大和など
※電話注文・全国発送可能です。
※ふるさと納税の返礼品にもなっています。

名称

大串製菓店

住所

神埼市神埼町本堀2569-3

TEL

0952-52-2888

営業時間

8:00~18:00

定休日

不定休

駐車場

10台以上

HP

ひしぼうろ ホームページ

アクセス

JR神埼駅より車で約5分

問い合わせ先

神埼市役所 総務企画部 政策推進室

TEL: 0952-37-0121