2018.月8号
ナビゲーター/HITOMI & YUKIKO

SAGARICHが創刊して間もない頃、次世代のリーダーとして対談コラムに出演してくれた山口芳水さん。あれからおよそ2年の歳月が流れ、山口さんは確実なる進化を続けた。今ではJAPANを相手に自身の才能を開花させ、もはや単なる書道家ではない境地にまで到達した。とは言え、まだ頂上ではない。ゆえに、世の中が彼の動向を注視する中、展開される今回の個展は彼の才能の可能性を垣間見るにすぎない。SAGARICHとしても、多くの人々に興味深く見て欲しいと思うから、内容と共にを紹介しつつ個展に挑む山口芳水の心境に迫る。


I WANT NO ONE IN MY HEART TO HAVE 2018
ー私はある愛情で一つも欲しくない


 

 

個展 山口芳水
場所 LIFT COFFEE
期日 8月11日~8月20日(13~15日は休)
入場・観覧無料(パーティーを除く) 


山口芳水の「今」について



全国的活動も著しい山口さん。2年前よりはるかに重厚感が増しているような気がした。もちろん、気さくさは変わらないが一言ずつに含蓄がある。それもそのはず、BMWとコラボしたりキー局のテレビ番組に出演するなど活動の幅は確実に広がっている。最近では、デザイナーとして全国的活動にも着手することになったそうだ。 

相変わらずセルフプロデュースによるデザイン商品(Tシャツ)なども、そのプロモーションビデオのスタイリッシュな魅力から人気度は高い。特にお洒落好きな女性のファンは多くHITOMIとYUKIKOも興味深くお話を伺っていた。


ところで今回の個展は、驚いたことに書道展ではない。ほぼ絵画展の様相だ。山口芳水の根底にあるものは当然「書」であることに間違いはない。しかし、個展に向けて取材時に製作していた作品は、おおよそ「書」とはかけ離れた心象画のようなピクチャーばかり。これに対し、大いに疑問を持ったので思い切って尋ねてみた。すると山口さんが答えたのは、彼自身の進化による可能性の探求でありその過程に過ぎない、ということだった。

もちろん、彼は書を捨てたわけではない。むしろ、成長途中にある心情の変化が、このようなクリエイティブな世界観を広げているのだろう。イマジネーションでアートを作る人は、どこか凡人とはものの捉え方が違う気がする。例えば、色使いなども独特だ。

彼の原点である「書道」という基礎が生み出したアーティスト・山口芳水に生まれ変わろうとしているのかもしれないと考えた時、その成長の様子をこのように間近で見られるのは、後世、大変光栄なことになるかもしれないと期待も寄せつつ、今度の「個展 山口芳水」が楽しみでたまらない。


スタジオ「シロクロ」



インタビューを行った場所は、彼のアトリエだ。芳水さんは、ここで定期的に書道教室を開いて、「書」の楽しさを伝導している。

しかし、個展の為の制作場所であるから、およそ書道教室の雰囲気がしない。まさにアトリエといった感じ。

同時にギャラリーでもあるから、一つずつの作品を見ることができて、これもまた楽しい。

芳水さんのクリエイティブな発想は、様々に飛び火している。そこに垣根はない。ボーダーレス。時には、プロジェクションマッピングの手法も使い自分の世界を確立させていく。これが書道家の発想とは全く思えない。なぜなら、書道とは二次元の世界から抜け出すことができないというイメージしかないからだ。そして、実はその作品の中には文字が書かれている。これが芳水さんの根底に流れるアイデンティティーかもしれない。

 

今度の個展には、大作も準備されている。今、佐賀でもお洒落で人気のLIFT COFFEEさんで開催されるのだが、果たしてどのような展示が成されることだろう。皆さんも、20年後、いや10年後に、どうなっているか想像もつかないこのアーティストの今を、知っておいても損はない。もしかしたら、ピカソのようになっているかもしれない山口芳水の今を感じてみてはいかがだろうか。

ギャラリー

シロクロ(山口芳水書道教室)

住所

佐賀市神園1丁目5-5

TEL

080-3980-0045

定休日

火曜~金曜

HP

☞ 山口芳水ホームページ