2019.6月号
ナビゲーター/MAKI & WAKANA

むかい合い作る、生産と加工
耕房 野の風



ここは嬉野市塩田町五町田。山に囲まれ田園が広がるなんとも佐賀らしい風景だ。この場所で2010年から生産、加工、袋詰め、発送、全ての行程を行う一軒の農家がある。「耕房 野の風」さんだ。

育てているのは麦、白米、赤米、黒米、緑米。それを加工した玄米粉、小麦粉なども販売している。

美しい黄金色の麦畑にキラキラと目を輝かせるMAKIとWAKANA。農業に魅了され、この畑から自らの手で道を切り拓いた1人の女性にフォーカスしてみる。


淵野 貴子さん


以前から自ら農業をやってみたいという想いを持っており、研修や講演会に足を運んでいたそう。食べることが好きで体を動かすことが好きだったことから農業という職業がとてもしっくりきたのだと語る。そして2010年、兼業農家だった淵野家に嫁いできた貴子さん。畑はあるからやってみようかと家族総出で開業したのが「耕房 野の風」さんだ。
耕房 野の風さんは〝むかい合い作る生産と加工〟というコンセプトを掲げている。向かい合うのは購入してくれるお客様。そして生産する作物。作物を農協に出荷するのではなく、お客様と直接向かい合う商売がしたかったのだという。「お金を出せば何でも手に入る時代。今思えば、消費するだけの一方通行に疑問を持っていたのかもしれません。」と貴子さんは語る。耕房 野の風さんが一般的な生産者さんと違うのは、決められた量を出荷・販売するのではなく、品質をキープしながら自分が出来る範囲で出来ることをやっていること。その作り手の状況を消費者側が考え、理解しているという関係性も注目したい大きなポイントだ。


1年の流れはこうだ。まずその年に生産する量を決め、種類ごとに植え分ける区画や面積を決める。5月中旬にお米の種をまき、1ヶ月間苗を育てて田植え。10月中旬に稲を刈る。稲刈りを終えたら今度は麦を作る。収穫は麦秋と呼ばれる初夏だ。収穫した作物は受注を受けてから加工する。その頻度は半月に1回。受注分をまとめ、その都度製粉をするのでお客様の手元に新しい粉を届けることができる。

挽きたての粉は風味も旨味も全然違うのだそうだ。貴子さんはお客様が欲しい時にすぐに届けられないというもどかしさを感じているそう。しかし、商品が欲しい人の心構え一つでいい物を手にすることが出来るとも言い換えられる。
現在、3割は個人の消費者さんに、残りの7割は取扱店さんに出荷している。「量産も考えたこともありましたが、臨機応変にお客様のニーズに応えられる小規模の良さを活かしていきたいという想いから今はこのままやっていこうと思います。」と語ってくれた。


商品の紹介


製粉ももちろん手作業。大型の製粉機を使う方が効率的ではあるが、熱で穀物の旨味が飛んでしまうデメリットが発生するため、貴子さんは熱の伝導率が低い石臼を使用して製粉を行っているんだって!
※写真はイメージです。
※表記は全て税込み価格ですのでご注意ください。

小麦から作られる加工品

小麦を石臼で挽き、粒子の大きさによって3つに分類する。粒子が小さい順番に小麦粉、全粒粉、ふすま粉だ。小麦粉だけを作るとなると全粒粉部分とふすま粉部分がロスとなってしまう。しかしこの2つは食物繊維たっぷりな上に麦本来の風味や食感が楽しめるので、耕房 野の風さんでは商品化し販売している。

小麦粉(小麦)480円


野の風全粒粉(小麦) 200g 280円
  • 少し粗挽きでザクザクとした食感が特徴だよ。この全粒粉を使ってクッキーを作ってみて♪

パンケーキの粉(小麦粉、野の風全粒粉、もちきび粉、米粉のブレンド)200g 380円

  • 小麦の皮あたりやお米のぬかの部分も入っているから風味や香りが良いんだよ♪

ふすま粉(小麦)100g 180円
  • ふすまとは小麦の皮のこと。食物繊維が豊富で、糖質が少ないそう。小麦粉を使う際に少し加えることで風味が良くなり食感も出るんだって!

玄米の米粉(うるち米)150g 250円

  • ビタミンやミネラル、食物繊維などを豊富に含む玄米を精米せずにまるごと粉にした商品だよ。

三穀米 150g 300円/300g 500円

  • 黒米、赤米、緑米のブレンド。きれいな紫でもちもち、ぷちぷちという歯ごたえが楽しめるよ! 白米一合に大さじ1杯(約15g)を入れて一緒に洗い、普段お米を炊く要領で炊いてね♪ その他、もちむぎや七穀米、それぞれを白米と混ぜた商品などがあるよ。

作業場を見学させていただきました!



まずはふるいにかけて大きさを選別するよ。

お客様が喜んでくれる姿を想像しながら

こうやって一つ一つ丁寧に作業しているんだね。

この機械をつかってパッケージングしているよ。

種類ごとに分けて整理してあるね。

今回たくさんお話を聞かせていただいて、作る物はなんであれ想い一つで家庭でも農業ができるんだなと感じた。貴子さんは「私たちの存在を知っていただき、土いじり、家庭菜園などを始めるきっかけになってもらえたら嬉しいです。」と語ってくれたよ。

雑穀米おむすび、美味しくいただきました!



お米の美味しい食べ方、それはやっぱりおむすびだよね!

雑穀米は白米に混ぜ込んで炊き上げてもいいし、それだけ炊いてもいいんだって♪

食物繊維と淵野さん一家の愛情がたっぷり詰まった雑穀米、ぜひあなたにも食べてほしいな♪ 公式ホームページのお問合せページから、もしくはお電話にて注文ができるので気になる人はホームページを覗いてみてね!
名称

耕房 野の風

住所

嬉野市塩田町五町田乙4720