2019.6月号
ナビゲーター/MAKI & KANA

え!?焼き物のギャラリーで薬膳カレー!?


ここは武雄市山内町。黒髪山の麓にある一軒の窯元だ。このギャラリーでスパイスたっぷりの特製薬膳カレーが食べられるという噂を聞きつけやってきた。


中に入るとギャラリーとテーブル席があり、そこには可愛らしい女の子たちが美味しそうにカレーを頬張る姿があった。

ギャラリーはたくさんの木々に囲まれた自然豊かな場所にある。おや、何か見つけた様子の2人。指差すその先には…

美しい自然に囲まれた池が広がっていたよ!

忙しい日々からちょっと抜け出して、美味しい空気を吸いに行こう♪
 

「人生を変えた5年間。」
桃林窯 窯元 吉田求さん



それは20代までさかのぼる。有田の磁器メーカーでの勤務を終えた後、窯業大学校の授業を受け、波佐見(長崎県波佐見市)のプロ養成スクール、三川内(長崎県佐世保市)の窯元でアルバイトをする生活。家に帰り着くのは深夜3時。寝る間も惜しんで自らの感覚を研ぎ澄ます修業に打ち込んでいった。

自分というカテゴリーの中に武器となるものを持っていないとお客様に自信を持って商品を勧められないという想いと、有田では分業が盛んでトータルでの技術を学ぶことが出来なかったことが吉田さんを突き動かしたのだ。この5年間の修行でロクロを回すことへの自信が少しずつ付いていった吉田さんは退職し、独立する。

桃林窯の開窯は22年前。

ロクロはそこそこ挽けたし何とかなるだろうと思っていた吉田さん。しかし現実はそう甘くはなかった。作品を作っても評価される場所もない。自ら道を開拓していくしかないのだと悟った。


奥様と出会い、結婚した直後に予定した個展で作品を磁器ではなく陶器に転換した。「初めての個展を開いた場所は老舗菓子の村岡屋さんだったな~。」と昔を懐かしむ柔らかい表情を見せた吉田さん。毎年新作を増やし、年々レベルアップを図っていった。突き詰めていけばいくほど少しずつ自分の作品に変化が見られるようになっていたと語った。お客様からの評価は高く、人気の陶芸家へと上り詰めた。

吉田さんの作品の特徴は「粉引(こひき)」と「焼き締め」。 粉引とは鉄分を多く含む黒色の土を使の上に白色の化粧土のをコーティングし、釉薬をかけて焼くもの。一方、焼き締めとは鉄分を多く含む黒色の土に化粧土も釉薬もかけずにそのまま焼き上げるものだそう。

これらは窯の中の状態によって釉薬がこげ茶やピンクなどに変色する“窯変”が出るのが面白いのだと語る。この窯変を生み出すために窯の中に炭や貝殻、藁なども一緒に入れて焼き上げるのだそう。すると窯の中で蒸着し、薄い皮膜を作ることで窯変を生み出しているのだ。 

奥様との出会い


吉田さん奥様は同級生。再会は30歳を過ぎた頃の同窓会だった。奥様は当時国際線のスチュワーデス。焼き物に興味があり東京で陶芸教室に通っていたのだそう。久しぶりの故郷での同窓会。「陶芸家がいるらしい」という噂を聞きつけて見てみると、旅行帰りの小汚い格好をした吉田さんだった。奥様から声をかけ、この人の作品を見に行きたいなと思ったのがきっかけ。「まだまだ駆け出しで稼ぎも少ない彼を見て、なんだか面白いなと思ってしまってお付き合いを始めました。」と、はにかみながら話してくれた。

奥様は大のカレー好き。いつかカレー屋さんをやりたいと思っていたほど。吉田さんが作る器に盛りつけられた奥様特製の薬膳カレーはお客さんの体も心も満たしてくれる。「この黒髪山の麓の静かで素晴らしい環境で是非焼き物に触れて欲しいですね。作家が作る器とお食事がゆっくりと楽しめる空間ですよ。」とお二人。 大人の隠れ家のような雰囲気をぜひ一度体感してほしい。

喫茶メニューの紹介


今日は薬膳カレーランチ(1,350円)に、デザートプレートが付いたランチを紹介しますよ♪ ボリュームたっぷり&美味しい&美しい器を心ゆくまでお楽しみください!
※2日前までの予約でコースランチ(2,500円)もあります。


※表記は全て税込み価格ですのでご注意ください。

デザートプレート付きランチ(オードブルプレート/サラダ/カレー/ライス/デザート盛合せプレート/珈琲)1,850円

季節を感じるお花が添えてあるオードブルプレートです。

28種類のスパイスが入った薬膳カレーはスパイシーで体がポカポカしてきます!

デザートプレートにはフルーツと自家製ケーキ、アイスが乗っています♪

カフェタイムでの利用も♡

奥様自慢の自家製のスイーツもあるので小腹が空いた昼下がり、是非カフェとしても利用してほしいです。


アップルパイと珈琲 650円

珈琲 400円

自家製レアチーズケーキと珈琲 650円

ギャラリーの様子



ギャラリーの様子です。

大きな窓から陽が差し込む温かい空間です。

お食事とドリンクのメニューです。

ギャラリーには吉田さんの作品がズラリと並んでいます。

質感がとっても素敵で食卓に花を添えること間違いなしです。

大皿から小皿まで種類もたくさんあります。

器の色合いもデザインも洗練されています。和食にも洋食にも合いそうですね。
 

吉田求個展のお知らせ

桃林窯の吉田さんの個展が東京・銀座にて開催されます。お近くにお住まいの方はぜひ足を運んでみてください。
 
「吉田求展」
会期:2019年6月12日㈬~16日㈰
会場:ギャラリー銀座
住所:東京都中央区銀座2-13-12
時間:11:00~19:00(最終日は17:00)
※期間中は作家在廊

名称

桃林窯 工房&茶房ギャラリー

住所

武雄市山内町1832-1 

TEL

0954-45-6186

営業時間

10:00~18:00

定休日

木曜

駐車場

あり

HP

桃林窯 ホームページ

アクセス

武雄北方ICより車で約25分

有田波佐見ICより車で約20分