温かい日本茶を口にした時。日本人で良かった、と思う瞬間だ。お茶の産地は全国各地、静岡、宇治、八女などお茶の産地は全国各地に存在する。産地によって味が違うのは製造工程の違いによるものだという。熱処理をするのか、蒸すのか釜で炒るのか、時間、温度などによって味わいが変化する。他の産地に比べるとマイナーで小さい産地だが、しっかりとその地位を確立できたのには深い理由があるのだ。

現社長のお母様でいらっしゃる女将さんが販売所を切り盛りしている。創業は戦後すぐ。今年で71年目を迎える。元々は工場の片隅に直売所を置き、そこでお茶を出していたが、いよいよ手狭になり、現在の販売所を作ったのだという。多くの人たちに親しまれたお茶箱は、今は雰囲気を作り出すインテリアになっている。お茶箱に入れられたお茶をカップですくって量り売りをしていた昔のあの光景を、今となっては見ることが出来ないのがちょっぴり寂しい気もする。

そもそもお茶は、京都のお坊さんが嬉野に立ち寄ったときに、茶栽培発祥の地と呼ばれる脊振山山麓（現在の吉野ヶ里町東脊振地区）にお茶の種を植えたことに起源する。嬉野に伝わったのは室町時代。住み着いた陶工たちが自家用のお茶を作り始めたのが始まりで、江戸時代には産業化されたという。