2018.3月号
ナビゲーター/MAYUKO

多良岳の恵みが生んだ本わさび


年間約1万人が観光に訪れる隠れた人気スポット、「わさび苑 多良岳」。こちらでは、水質豊かな多良岳の地下水を利用し、約1.2ヘクタールという広大な敷地のなかで約48,000株のわさびを1年中栽培し、年間を通じて出荷している。また、'10年より本わさびの根茎を出荷。同年10月には観光農園を開設しており、観光バスをはじめ一般の見学も可能である。さらにこちらでは、「多良岳わさび」のブランド化を目指すとともに、わさびの栽培を通じた過疎化地域の活性化を目指しており、わさび漬けやドレッシングなど様々な加工品も開発・販路開拓している。商品は採れたての本わさびとともに、施設内にある売店で購入可能だ。また、近いうちに食事処もオープン予定。手打ちそばや「わさび丼」などわさびを使ったメニューが登場するそうなので、完成が楽しみだ。

▲「わさび苑 多良岳」で栽培された本わさびのほか、おすすめの加工品(わさびドレッシング・わさび漬け(味噌・海苔・粕)・山葵だしじゅれ・わさび椎茸・わさび茶)。施設内の売店やHPで購入できるほか、県内の直売所・物産館・スーパー、県外のデパート、海外ではアメリカなどで販売している。


わさび田の様子



わさびの栽培に欠かせない水。こちらでは、穴を空けたパイプから毎分7トンの地下水を24時間常にかけ続けている。水は「水源の森百選」にも選ばれた多良岳の地下水を利用。年間を通して水温16℃を保っている。

栽培中のわさび。無数の茎や葉がのびていて分かりづらいが、写真中央にちらっと見えるのが、すりおろして食べるあの根茎の部分。苗を植えてからおよそ1年半~2年で収穫できるまで育ち、収穫は1年を通して行われる。

こちらはめったにお目にかかれないわさびの花。1~3月にかけて、小さくて真っ白な花を咲かせる。清流でしか育たないわさびは、非常にデリケートな植物。この花も、1年を通して冷涼な場所でしか咲かないそうだ。

わさびの加工場



収穫したてのわさびの状態。たくさんの茎や葉、ひげ根が付いていて、これが「わさび」だと言われてもピンと来ないかもしれない。

地下水で洗いながら、一つ一つ手作業で不要な部分を切り取っていく。スタッフの手つきは簡単そうに見えるが、慣れていないときれいな形に仕上げるまでかなりの時間がかかりそうだ。

出荷される状態。やっと私たちがイメージする「わさび」の形になった。家庭では湿らせたキッチンペーパーで包み、冷蔵庫で保管すると3ヶ月以上持つらしい。

わさびは捨てるところがない!?

実は、わさびは葉っぱから根っこの先まで全~部食べられるそう。ここでは、気になるその食べ方の一部をご紹介~!


「わさび」といえばこの根の部分。

本わさびは市販の練りわさびよりも辛さがマイルド。時間が経つと香りが飛ぶそうなので、食べる直前にするのがおすすめ。

こちらはわさびの葉。

若い葉はわさび漬けなどに使われ、成長して硬くなったものは乾燥させてお茶などに使われている。お茶は辛くないよ。

1~3月限定のわさびの花。

お湯で良く揉んで辛みを引き出し、サラダやおひたし、醤油漬けにするほか、高級料亭などでは天ぷらにして出されている。

茎はわさび漬けやドレッシング、アイスなどの材料として使われている。

ひげ根をちょこっとかじり、「あとからツーンときた~!」とMAYUKO。

作業場を案内してくれたのは、気さくな笑顔が素敵なスタッフの佐藤さん。

わさび苑 多良岳
代表理事 高木 茂さん


 

「わさび苑 多良岳」を運営する「農事組合法人 多良岳」は、高木さんをはじめとする4人の農家により'08年に設立された。施設のある太良町では、30年ほど前に地元農家が沢わさび栽培に取り組んでいたが、自然災害でわさび田に土砂が流入する被害を受け、頓挫した経緯がある。そのため自社のわさび田では、地下水を利用した水耕栽培を導入。水質や温度管理などに厳しいわさびの栽培条件も、「水源の森百選」にも選ばれた多良岳の地下水を利用することでクリアし、今では約1.2ヘクタールという九州最大のわさび田となった。こちらでは、現在様々なわさび関連商品の販売も行っているが、なかでも看板商品の「わさびドレッシング」は、使用するわさびの部位や材料のバランス、風味の保ち方などの確立に苦労したという。

例えば、わさびは空気に触れると風味が飛ぶので、蓋の役割を担うオイルを入れているのだが、はじめに試したオリーブオイルはわさびとの相性が悪く、先を見越して木まで育てたのに断念したのだという。その後も試行錯誤を繰り返し、半年かけて商品を作り上げたそうだ。自社商品はどれもわさび農家ならではのこだわりの詰まった商品ばかりだが、その認知度はまだまだ低いという。高木さんは、今後は県内外のみならず、ヨーロッパなど海外にも売り込んでいきたいと、販路開拓への意気込みを語ってくれた。


売店の様子



わさび田を見学した後はお土産のショッピングタ~イム! 敷地内の売店では、本わさびのほか様々なわさび関連商品を購入できる。

人気の「わさびドレッシング」とジュレタイプの「山葵だしじゅれ」。サラダだけでなく、肉料理やカルパッチョなど幅広く使える♪

子供にも人気の「わさびアイス」は、ほんのり爽やかな辛さの「マイルド」と大人な辛さの「ハード」の2種類がある(写真はハード)。

ツーンと美味しいわさび漬け。味噌・海苔・粕の3種類があるよ。

「これ美味し~!」と次々に商品をカゴへ入れていくMAYUKO。

今の時期しか食べられない、レアな「わさびの花」も販売中~!
名称

農事組合法人 多良岳(わさび苑 多良岳)

住所

藤津郡太良町糸岐1212-3

TEL

0954-67-2366

営業時間

9:00~17:00

定休日

なし

駐車場

20台

HP

☞ https://wasabientaradake.wixsite.com/wasabi

アクセス

JR多良駅より車で約5分