編集長KENTOの対談コラム


次世代のリーダー


夢は叶えなくていいんだよ
ボンド グラフィックス代表
冨永 ボンドさん
木工用ボンドに色を混ぜて、絵画作品を作るアーティスト・冨永ボンドさん。ボンドアートという稀有なアート作品で一躍脚光を浴びている。その実力たるやNewYorkやParisで個展を開催できるほどだ。
彼の作品づくりの最大の特徴は、アトリエにこもって絵画を行わないところ。活動を始めて以来すでに500点以上を描いてきたが、そのすべてがライヴペイントで創作してきた。それは、バーやクラブなどのイベントとして、作品作りをライヴで見てもらうこと。
この作風は彼の作品作りを通じて、そこにいる人と人とを紡いでいくボンド(=接着剤)になりたい、と願う彼のポリシーである。
また、「アートに失敗はない。」を合言葉に多くの人々にBONDアート体験活動を行っている。実はこれには、彼の愛溢れる深い想いが詰まっていた。

専門的な勉強をしたことのないグラフィックデザイナーからスタート。

音楽と酒をひたすら愛してやまなかった20歳の冨永さんは、専門的知識を学校で勉強することなく、デザインの世界に飛び込んだ。きっかけは、先輩たちと始めたイベントのフライヤーとポスターデザインを手がけたこと。そして、印刷会社のオペレーターとして就職した。冨永さんのアーティストライフの始まりだった。
31歳の時、冨永さんの人生を大きく左右する転機が3つ訪れた。
一つはご結婚。奥様は作業療法士で、障害を持った人々へのリハビリテーションなどを行っている。
もう一つは転職。その頃すでにいくつかの作品作りを始めていた冨永さんに、西九州大学の事務職のお誘いがあった。冨永さんのアート活動に理解を示してくれた支援者さんが薦めてくれて、冨永さんはこれを有り難く引き受けた。
そして最後は転居。奥様の職場が伊万里ということもあり、二人の職場の中間地点に住居を構えた。これが多久市に移り住んだきっかけだ。
そしてこの後、奥様のお仕事に深い愛情をもって接していく内に、アーティスト・冨永ボンドに磨きをかけていくことになった。
アートで医療の支援をしたい

冨永さんの作品のテーマは、ほとんどが「人間」にまつわる何かである。印象的な顔、心、細胞、精神などが独特の手法で描かれている。
なぜ、冨永さんの作品は「人間」に関わることがテーマなのか?
その答えが、「奥様と出会って人生が救われた。」冨永さんが語った一言にあった。
結婚してから奥様のお仕事にも関心を持つようになった冨永さんは、日本が世界一先進医療特化している反面、世界一うつ病の多い国であることを知った。そして、理学療法士の数が足りないこと、その方面に支援が少ないことに憤りを感じた。そこで芽生えた感情は、徐々に作品に込められていった。結果、様々な気持ちのこもったボンドアートが多くの人々を魅了した。冨永ボンドの作品の根底にあるものは、困っている人たちに向けられた深い「愛」なのだと思う。
ボンドアートを通じて実現したいこと

1、アートセラピーを取り入れた療養施設
2、作業療法士の認知度を向上させる活動
3、精神障害を持つ人たちが描くアート作品のプロデュース
日本が持つ医療セラピーの実情に憂いを感じている冨永さんは、もちろんアーティストとしてより脚光を浴びるようになりたい、と望まれてもいるが、その先には自分のアート活動が医療支援につながることを目標に今後も創作にいそしむとおっしゃられた。
彼の夢はとても興味深く崇高なものであることに心が震えた。
ここまでお話を伺ってきて、最初に出会った時に感じた普通のアーティストさんにはない何かを感じた。冨永さんの活動の根底にある熱い気持ちは、作品を伝導して、今後も多くの人々に伝わっていくことであろうと確信した。
最後に冨永さんはこうも言っていた。「いつか情熱大陸に出たいね。」
その番組ではないにしろ、近々、彼の個展開催などに密着したドキュメンタリー番組が放送されるかもしれない。今からとても楽しみだ。

KENTO編集長の所感

初めてボンドさんとお会いしましたが、刺激的な出会いに感謝しています。お会いするまでは、デザイナーなのかアーティストなのか、どんな方なのだろうと想像を膨らませていたのですが、実際に会ってみると、それらを凌駕する新ジャンルの方でした。もちろんアーティストという表現者としても、ボンドという新しい切り口で世の中に新しい価値を創出されていますが、それらを成すためのモチベーションに真なる想いを見ることができました。ボンドさんは間違いなく、世界に名を残す方でしょう。そんな彼とこうやって佐賀のこと・仕事のこと・未来のことを話すことができて一段とやる気が出ました!ありがとうございました!

店名

Art studio ボンドバ

住所

多久市北多久町小侍703-21

TEL

0952-37-8646

営業時間

【アトリエ開放】毎月第4日曜日 11:00~18:00

【BAR営業】毎週金曜日 20:00~翌3:00

HP

bondgraphics.com