花酵母で造る親しみやすい日本酒



元禄元年(1688年)の創業から330年にわたり続く蔵元。国の登録有形文化財や佐賀県遺産にも登録されている歴史ある酒蔵群で、上質な酒米と背振山系の伏流水、そして花から採取される「花酵母」を使っての酒造りを行っている。花酵母で造る酒は香り高くスッキリとした後味。若者や女性などをターゲットに、日本酒に馴染みのない人にも飲みやすい酒造りを目指す。また、この飲みやすさは日本酒に馴染みの薄い外国人にも好評で、ニューヨークや香港・上海・ドイツ・オーストラリアなどを中心に海外にも多く出荷している。なかには現地で飲んだ酒を求め、蔵元まで買いに来る人もいるそうだ。

「天吹酒造」では現在、「天吹」の銘柄で40種類ほどの酒を販売しており、日本酒のほかリキュール類も製造している。新商品も毎年リリースしており、9月中には抹茶のリキュールが新たに発売される予定だ。また通常の酒蔵見学のほか、「蔵開き(1~2月)」「春の大試飲会(4月下旬~5月頃)」「秋の大試飲会(今年は9月16日)」と、年に3回蔵を開放するイベントを開催。格安で様々な酒を堪能できるとあって、毎年期間中は多くの人で賑わいをみせる。
 
花酵母について

花酵母は酵母菌のルーツについての研究を長年行っている東京農業大学 短期大学部 醸造学科 酒類学研究室により、1999年に発見された。酒造りには欠かせない酵母菌。それぞれの酒蔵には昔から棲みついているというが、研究の結果、そのルーツは土にあることが分かった。研究チームはさらに、珍しい酵母を求めて離島や富士山など様々なところを探したが、研究は難航。目線を切り替え、土に近くて糖分を多く含む花や果物を調べた結果、花酵母に辿り着いた。「天吹酒造」では、研究室からの提案を受けて2000年からこの酵母を使用している。オシロイバナ・ひまわり・アベリア・いちごなど現在16種類ほど使っており、これほど多くの花酵母を扱う蔵元は全国的にも珍しい。


蔵見学・試飲


蔵見学では、築100年の酒蔵をはじめ、酒造りの現場を見学できる。さらに11月~3月には、実際に酒造りを行っている様子も見ることができる。

【見学時間】10:00~11:30、13:30~16:00
【所要時間】試飲・買い物含め60分前後
★蔵見学は一人でもできます。酒造りの様子は11月~3月まで見学できます。夏期期間中は酒造りはありませんが、蔵見学・試飲はできます。
※要予約(電話受付9:00~12:00、13:00~16:00)
※土・日曜、祝日は受付・見学ともに休み


今回は社長自ら案内してくれました♪

この酒蔵群は国の登録有形文化財に登録されている。
 

昔使われていた陶器製の酒樽。
 

今は使われていない井戸。昔はここから手作業で水を汲んでいた。

早速酒造りが行われる蔵の中へ! こちらは花酵母の酒や大吟醸などを造っている築100年の「風神蔵」。
 

「天吹」の守り神、「風神様」の鏝絵。

右側のタンク1つで720ml瓶約2,000本分の酒が仕込める。一番大きなものはこの10倍ほどあるそう。
 

酒米を蒸す機械など。

2階のイベントホールには酒に関する昔の道具が置いてある。太い杉の柱は1階から一本の木で繋がっている。
 

こちらはお得意様用の「通い徳利」。

海外向けの商品もこちらで製造している。

NYの街並みがオシャレなデザイン!
いよいよお待ちかねの試飲タイム♪

「ここまで来て酒を飲まないのはもったいない!」ということで、蔵見学を楽しんだあとは蔵自慢の酒を試飲。「プレミアム角打ちコース」では、500円で大吟醸を含め好きな酒3種が試飲できる。器はなんと色や香りが分かりやすいワイングラス! 酵母や精米歩合などによって変わる味や香りを愉しもう♪

気に入った酒はその場で購入もできる。
 

シシリー島の「ブラッドオレンジ」を使ったリキュール「ブラッドオレンジ アポロン(梅酒)」は、ロックや炭酸割がおすすめ。

(左から)純米吟醸 壽限無(オシロイバナ酵母)、純米吟醸 酒こまち(ひまわり酵母)、裏大吟醸 愛山(アベリア酵母)、純米吟醸 雄町(いちご酵母)。

秋の大試飲会
春のフレッシュな酒がひと夏の間に熟成され、旨みが乗った秋の酒。約30種類の酒をおつまみ持参で楽しもう!

【日程】平成29年9月16日(土)
【時間】午前の部11:00~13:00、午後の部14:30~16:30
【会費】1,000円(事前購入制)
【定員】各250名(定員になり次第締切)
【申込】インターネットで入場整理券を事前購入

※お酒のみ提供となりますので、料理は各自ご持参下さい。
※ビールなど他のアルコール飲料の持込みは禁止です。
※内容や購入方法等、詳しくはHPまで☞秋の大試飲会


天吹酒造合資会社
社長 木下 壮太郎さん


木下さんは「天吹酒造」の11代目。大学は全国から蔵元の跡取りが集まる東京農業大学の醸造学科へ進み、ライバルとともに酒造りについて学んだ。学生時代から全国各地の酒が置いてある店に通い、色々な酒を飲んでいたそうだが、その際有名な蔵元の息子が店の人と親しくしているのを見て、悔しい思いとともにライバルに追いつきたいという思いが募ったそうだ。当時「天吹」は売上げの90%が県内、残りのほとんどは福岡・長崎によるもので、東京ではまだ無名だった。卒業後家業を継いでからは花酵母の酒造りに着手し、ライバルに追いつきたい一心でこれを東京へ売込みに行った。その後も全国販売を目指し、各地で販売店を探した結果、2005年頃には全国に流通できるようになった。
“これでやっとライバルに追いついた”と思ったのも束の間、その頃当のライバルは、既に海外進出を進めていた。ライバルに先を行かれる悔しさを胸に、2006年頃から海外への営業も行い、2008年頃から輸出を開始、現在では17ヶ国での販売に至っている。海外でも徐々に広まりつつある日本酒だが、酒類のなかでは未だマイナーな部類に入り、営業では日本酒と料理との合わせ方を聞かれることが多い。そのため木下さんは、海外出張の際は様々な店で料理を食べ歩き、料理を研究する日々だ。「よく『海外で遊んでいる』と言われるが、これも仕事のうち。体を張って仕事している。この業界に入って22キロ太った。」と笑いながら話してくれた。


木下さんは、「県内だけで販売していると、味覚を県内の人に合わせ、ライバルも県内の酒造になる。これが全国となると、東京や全国の有名店が基準になるし、世界になれば世界基準の味になり、ライバルはワインメーカーになってくる。外へ出れば出るほど自分たちの酒がブラッシュアップされている。」と語る。変化を続けるなか、それでも変わらないのは“若者と女性に美味しいと言ってもらえる酒を造りたい”ということだ。「“入り口の酒”として、『天吹を飲んで日本酒が好きになりました』と言ってもらえるのが一番嬉しい。」と、顔をほころばせた。
商号

天吹酒造合資会社

住所

三養基郡みやき町東尾2894

TEL

0942-89-2001

営業時間

8:00~12:00、13:00~17:00

定休日

土、日曜、祝日

駐車場

10台以上

HP

http://www.amabuki.co.jp

アクセス

久留米駅からタクシーで約15分

備考

酒蔵見学は要予約