この辺りはオーナー・野中さんの地元でもあり、地元を盛り上げたいという想いと世界遺産を広めたいという想いで選ばれた。メニューはどれもリーズナブル。看板メニューの「三重津海軍ドッグ」などホットドッグが主力だが、地域のお年寄りや子供達が気軽に立ち寄れるよう、更に安価でかつ目を引くような面白いメニューを考えた結果、100円から買える「382まんじゅう」が生まれた。店では安価なメニューを提供するだけでなく、その食材にもこだわっている。生鮮品は地元のものを使用し、それ以外もほとんどを佐賀の業者から仕入れている。ホットドッグに使われるパンは「キミドリバーガー」同様、市内の「ピッコロ」というパン屋で小城の名水を使って毎日手作りされたものを使用。「382まんじゅうプレミアム」には、地元の餡子屋で手作りされた餡子が使われている。また、海苔は店のすぐ近くの海苔師から規格外のくず海苔を分けてもらうことで、食材の活用とコストカットの両方を果たしている。そうした店の想いが伝わったのか、オープンから3年目を迎えた今では、世界遺産目当ての観光客だけでなく、学校帰りの小・中学生をはじめ、近所の人達の憩いの場にもなっている。

「キミドリバーガー」と「DAI DAI CAFE」を経営する野中さん。店を営むにあたり、地域貢献や面白さを追求しているという。地域貢献といえば、「秋の早都栄祭り」というイベントを主催している。“この辺りにはお祭りが無いので、地域の人たちが楽しめるお祭りを作りたい。そしてこのお祭りで沢山の人に三重津海軍所跡・早津江を知ってもらいたい”という想いで作り上げたそうだ。昨年11月に行われた際は、出店や地元ミュージシャンによるライブがあり、大人から子供まで1,000人を超える参加者で賑わった。運営するなかでは様々な不安や迷い、葛藤もあったそうだが、参加した子供たちや地域の方たちの笑顔を見ると、“本当にやってよかった”と思えたそうだ。明るく行動力がある人柄で、多くの仲間が集まるのも納得だ。

一方、昨年1月から店で働き始めた黒田さん。もともと飲食業や接客には興味があったそうだが、「キミドリバーガー」に客として通うなかでオーナーの人柄や店の雰囲気に惚れ込み、働きたいと申し出たそうだ。仕事については、「お客さんに美味しいと喜んでもらったり、また店に会いに来てくれることが楽しい」と笑顔で話してくれた。店は今後、より多くの人が利用できるよう、アレルギーに対応したメニューの開発も目指している。また、「この辺りには海苔師が多く、ご飯に時間が取れない人が多いので、そういう人たちのためにサッとつまめてエネルギーになるようなものを提供したい」と、店の名前に因みダイダイ酢を使った酸味のある唐揚げを使い、パックや弁当で販売することも考えているそうだ。