2017.11月号
ナビゲーター/YUKIKO

180年続く老舗酢蔵


「サガ・ビネガー」は「右近酢」の名で江戸末期の1832年に創業、以来180年続く老舗酢蔵。現在は醸造酢・飲む果実酢など約30種類のお酢のほか、お酢造りにも使われる生麹や、それを使った味噌を製造・販売している。現在お酢の製造法は、人工的に開発された酢酸菌を使って1~2日で醸造する「速醸法」が主流だが、「サガ・ビネガー」では、創業以来「静置発酵法」という仕込み法を守り続けている。酢蔵に棲みついた酢酸菌を利用し、昔ながらの方法で180日かけてじっくりと造ることで、原料の味と香りが残り、深くまろやかな酸味が生み出されている。


工場見学


お酢造りはまず原料で酒を造ることからはじまり、それをさらに発酵させてお酢にしている。「サガ・ビネガー」では工場見学も受け入れており、普段はなかなか見ることのできないお酢作りの様子をじっくりと見ることができる。


醸造中のたまねぎ酒。酵母の発酵に必要な酸素を送るため、毎週1回はむしろをめくるそう。めくるとツーンとした香りが広がる。

樽ごとに玄米・たまねぎ・梨など様々なお酢が入っている。この大きな樽ひとつで約4,000リットルのお酢ができる。

出来上がったお酢を濾過し、細かな不純物を取り除いているところ。このあと瓶詰めや検品、ラベル貼りをする。

手作業でラベルを貼る台。

昔使われていた酢の入れ物。

入り口で飲むお酢の試飲もできる♪

サガ・ビネガー
代表取締役 右近 雅道さん



「右近酢」から数えて5代目にあたる右近さんは、この道50年の大ベテラン。跡を継いだのは1968年(昭和43年)のことだ。当時はまだ18歳の高校生だった右近さん。高校卒業までは、学校を早退し、200~300軒のお得意様を回る日々を続けていたそうだ。昭和40年代はお酢の健康食品としての飲用が広がりはじめた頃で、お酢が良く売れていた。学校のない日は一番の稼ぎ時だったため、友達から誘いがあっても遊びに行けず、皆が映画を観に行っているのが羨ましかったという。

しかしその後、食酢の利用機会の減少や大手企業の九州進出による大量生産と安売り、スーパー・コンビニの進出などにより、小さなお酢屋は次々と店をたたんでいった。町の至る所にあったお酢屋も、今や当時の3分の1、九州でも30社ほどになってしまった。右近さんがこの危機を乗り切ることができたきっかけは、昭和50年代の黒酢ブームだった。全国的なブームにあやかり、右近さんの玄米黒酢も飛ぶように売れたのだ。その後も酢大豆ブームに乗って大豆ビネガーが次々と売れ、業績を上がったことで1988年(昭和63年)に工場を拡張移転し法人化。会社名を現在の「サガ・ビネガー」に改めた。工場を大きくしたことで生産量が上がり、このまま順風満帆、と思いきや、ここで右近さんに再び危機が訪れる。移転してすぐに黒酢ブームが去り、主力商品だった玄米黒酢が売れなくなってしまったのだ。このことで商売の難しさを実感したという右近さん。当時を振り返り、「ブームに流され、勢いで造ってはだめだと思いました。いつでも止められるような気持ちを持って造らないといけませんね。」と話してくれた。


地域の特産品でお酢造り


お酢は穀物以外でも、でんぷん質や糖分がある食材であれば製造可能だという。商品にはたまねぎ・大豆・橙・菊芋など、地元の原料を使った様々なものがあるが、これには地域の特色を出すことで商品価値を高める狙いもある。また、たまねぎ酢や大豆ビネガーなどは、生産過剰で畑に捨てられていたり、収穫されずに残されていた作物を見てアイディアが生まれたそうだ。お酢にすることで食材が無駄にならず、農家の収入アップにも繋がっている。またOEM(委託者商標による受託製造)も行っている。こちらでは100本という小ロットから製造可能なので、企業・団体問わず全国から様々な注文が殺到、現在は売り上げの7割を占めるほどになった。


お酢で健康習慣!


お酢には疲労回復や血圧降下の促進、ダイエットなどに効果が期待できると言われている。健康を気にする人には玄米黒酢やたまねぎ酢、柿酢がイチオシだが、お酢に馴染みがない人には果実酢もおすすめ。果実と蜂蜜の甘みでより飲みやすく、毎日でも続けやすい。ラインナップも豊富で、好みに合わせて選べるのも嬉しいところ。パッケージデザインがお洒落なものもあるので、ギフトにも最適だ。商品は現在、地元のスーパーなどでも販売しているが、様々な種類から選びたい方は工場に直接出向くかホームページからの購入がおすすめ。

名称

有限会社 サガ・ビネガー

住所

佐賀市嘉瀬町大字中原1969-3

TEL

0952-23-6263

営業時間

8:00~19:00

定休日

不定休

駐車場

10台以上

HP

ホームページ

アクセス

有明海沿岸道路「嘉瀬南IC」より車で約5分