2018.5月号
ナビゲーター/MAKI & YURIE

七代目継承者 谷口 弦さん
milepaper book(マイルペーパーブック)


 


跡を継がれて4年目を迎える谷口さんは、大学時代は大阪で過ごしアパレル業界に一旦は就職しました。しかし、長きに受け継がれてきた家業である伝統工芸に取り組むことを決意し帰郷。そして、次世代に向けて使ってもらえるような名尾和紙として、新ブランド「PAPER VALLEY(ペーパーバレー)」を立ち上げ、新しいコンセプトの下、プロダクト商品の開発に取り組んだのです。
「人生の節目に、自分の紙を置いていこう。」と開発したプロダクト商品「milepaper book(マイルペーパーブック)」。成人・結婚・出産・還暦という人生の特別な4つの瞬間に、テーマに合わせた記念の言葉や自分の気持ち、生まれた子供の足型などを、中に入った(下)3枚の紙に綴ります。そして、思い出の品などと一緒にブックボックスに入れて本棚に飾れば、まさに、想いを名尾和紙と共に残すという、自分や家族だけのレビュー作品になるわけなのです。

このマイルペーパーブックに使われる名尾和紙の原料となる原木から、谷口さんたちは自家栽培しています。だから、すべてが和紙張りの箱になっていて、表面は型押し印刷。ちょっと立体感があるように見えるんですよ。和紙をどういう風に使っていいかわからない世代の若者に対してのアプローチとして、谷口さんはこの製品の開発に取り組みました。特別な時に対する思い入れ・気持ちを、特別な紙に残すことで、その瞬間を永遠のものにできると考えれば、とっても素敵なことですよね。一冊3,000円で販売だそうです。

ナビゲーターのMAKIとYURIEも、今風のマイルペーパーブックを手に取り「可愛い~!」を連発。女性が思わず欲しくなりそうな、女性目線の商品に大絶賛でした。

使い方次第で、人生をふくよかな気持ちにさせてくれる伝統工芸・和紙に対するイメージがすっかり変わっちゃいましたね。谷口さんのオシャレな感性で、ますます名尾手すき和紙は発展していくような気がしました。

様々な商品、ショップご案内



実は、この取材の後で名尾手すき和紙のロゴマークなどが刷新されるとのことでした。なので、ご覧のCIはとても貴重(?)な記録かもしれませんよ。 このショップは、以前、谷口たちのご自宅だったお家を改装して作られたのです。中はとてもいい雰囲気。そこには所狭しと、たくさんのアイテムが飾ってありました。今回はその一部を紹介しちゃいますね。

まずは壁紙などでもいい感じの鮮やかな和紙。なんといっても風合いが良く手触りが最高!高級感が漂う素敵な雰囲気がグッド!

ショップはこんな感じです。色んな種類の和紙を、用途に合わせてお選びいただけます。

こんな小物入れも和紙作り。可愛いよね~♪
 

和紙で作られたシェードランプ各種。ベッドルームやリビングで、くつろぎの時間にバッチリって感じ。欲しい~!

品の良さを感じさせる小袋。デザインも素敵。

熟練の職人さんによって作られた肥前名尾和紙の美しさ。魅力的です。

地域の学校で卒業証書にも採用されているのです。1枚300円ですが、郷土に誇りを持てる一品として嬉しいですよね。

工房の様子
名尾手すき和紙について~100軒以上の工房が今は1軒に



佐賀市中心部から北部へ車で約40分。名尾手すき和紙の工房は静かな山里にあります。この地に紙すきの技法が伝わったのは、今から300年以上前の元禄12(1699)年。田畑が少なく農業の生産性が低かったため、村の一人が紙すきの盛んだった福岡県八女市周辺で修行し、村へ帰って紙すきの技を伝えたからだといわれています。
和紙の原料である梶(かじ)や紙すきに欠かせない水に恵まれたこの地は和紙づくりに最適で、その地名から「名尾和紙   」と呼ばれて全国に流通しました。昭和初期まで100以上の工房が軒を連ねていましたが、時代の変遷とともに減少し、今では谷口祐次郎さんの工房1軒となっています。

名尾手すき和紙の繊維の強さは日本一!?

和紙の原料は楮(こうぞ)というクワ科の木が有名ですが、ここ名尾手すき和紙は同じクワ科の梶(かじ)という木を使っています。梶は楮の原木です。近年、パルプ紙が登場すると、多くの和紙工房で細くて繊細な繊維を持つ楮が広く使われるようになりましたが、名尾和紙では昔と変わらず、梶を使います。
この繊維は太くて強いのが特徴。それを生かして、名尾手すき和紙は昔から提灯や和傘に使われてきました。今も「博多山笠」や「唐津くんち」、長崎の「精霊流し」などに使われ、全国から注文が入ります。


これは皮を取った後の梶の木。工房に行くと「ご自由にお持ち帰りください。」とおいてあります。

伝統を受け継ぎながら新しい技に挑戦する六代目・谷口祐次郎さん。この道28年の匠です。

新世代向けに新しい取り組みを発案する七代目・谷口弦さん。

この日はたまたま常連のお客様でお2人の恩師が、お礼用のお葉書をお買い求めにご来訪。

紙すき体験
せっかくなので、MAKIとYURIEもチャレンジさせていただきました!



思うように原料を均一に広げられな~い、と真剣なMAKI。

カメラを向けると思わず決め顔のYURIE。まじめにやりなさい!

イベント開催の案内

「工房開き」
日時:5月26・27日/場所:名尾手すき和紙
内容:紙すき体験・工房見学・商品即売

  • 名尾手すき和紙の新ブランド「ペーパーバレー」を立ち上げ、マイルペーパーブックを発売しました。そこでより多くの皆さんに名尾手すき和紙を身近に感じて頂きたいとイベントを行うそうです。このイベントでは、普段できない職人の道具を使った本格紙漉きの体験ができ、活版印刷やアロマのワークショップ、軽食のケータリングもあるそうです。当日は、DJによる音楽などで心地の良い空間の中で、新しい肥前名尾和紙を楽しめますよ。入場観覧料は無料。誰でも気軽にお越しいただけます。楽しみですね。
名称

名尾手すき和紙株式会社

住所

佐賀市大字大和町名尾4756

TEL

0952-63-0334

営業時間

9:00~17:00

定休日

不定休

駐車場

6~7台

HP

名尾手すき和紙

アクセス

佐賀大和ICより車で約15分