根郷 朗さん

オーナー/シェフパティシエ 

福岡県柳川市出身。

東京で修業を始め、後にパリへ修業の場を移す。しばしあって、紹介を受け南フランスのビアリッツのお店でさらに精進を重ねた。そんな中、しばしばビザの都合でスペインの隣町を訪れたことがあった。福岡と佐賀くらいの距離の場所なのに、料理の美味しさ、ケーキの味の違いに大きな刺激を受けた。フランスのスタイルとはまるで違う自由と魅力を感じたのだ。かくして、憧れるスペインでの修行を決意。スペインでは 5つ星ホテル、バルセロナのホテルレイファンカルロスプリメーロでシェフパティシエを務め、サンセバスチャンやパンプローナでも修業を積んだという。このような経験が礎となり、今日までの根郷さんのお菓子作りに大きな影響を、今なお与え続けている。
さてその後、お父様が亡くなったことがきっかけで、日本に帰省。早速、福岡のホテル・イル・パラッツォに声をかけられ、そのホテルで仕事を始めた。次に佐賀にホテルマリターレ創世より、手作りのウェディングケーキを作ってくれと声をかけられたことで佐賀に移り住んだ。 1998年ついに独立、佐賀市神野にパステレリア テテの 1号店をオープンさせた。 2号店を出すのにあたって佐賀市内で探していたが、小城市を紹介された。柳川出身ということもあり、小城市のことは知らなかった。

しかし、小城市にシュガーロードが走っていたことや、羊羹の町であえてケーキ屋さんでチャレンジすることにおもしろさを感じ、 2005年、この地に 2号店をオープンさせた。来店するお客様たちに、このお店のお菓子で何が一番おいしいですか?と尋ねると、「全部美味しい。」と誰もが口を揃えるほど、今ではすっかり定着しているが、シェフはインタビューの最後にこう語った。「またチャンスがあれば、今すぐにでもスペインでお店を開きたい。自分を育ててくれたかの地で、今の自分が通用するのか試してみたい。」と。あくなき向上心を持つ51歳のサムライに出会った気がした。
超人気スウィーツショップの秘密
デマシアードムーチョの心

パステレリア テテは、佐賀市と小城市にお店を構える超人気スウィーツ店。店名の由来は、「パステレリア」はスペイン語でお菓子屋さんという意味。「テテ」はスペインで凄く有名な、根郷さんが憧れているパティシエさんのお名前を頂いた。そんな見た目にも可愛らしい佇まいのお店には、客足が絶える暇がない。
さて、確かにの独創性溢れる根郷さんのお菓子だが、いったいどこに高い人気の要因が隠されているのだろう。お話を伺ってみたシェフの印象は、物静かで上品で優し気な紳士という感じ。自信たっぷりの人が持つ威圧感を感じることはなかった。しかし、お話を聞いていく内に、シェフの心に燃える侍魂を垣間見ることができた。それは自分に対して超ストイックで、向上心に満ちていて、かつ謙虚さを併せ持つ心。淡々と話すストーリーは、かつて海を渡り世界に挑戦した男のドラマがあった。そんな根郷さんのモットーは、自分は器用ではないので、人に負けないよう努力をするしかない。とのことだった。また、スペイン語の「デマシアードムーチョ」という言葉をいつも自分に持っている。“身の丈に合ったように”という意味らしい。必要以上に働かず、必要以上に欲張らず。そして、義を重んじるということを常日頃から大切にしている根郷さん。「タイミング、キャリア、スキルを勉強できたのも、人との繋がりのおかげ。そう思えることでも自分は成長できたと思う。」と、静かに語ってくれた。
料理はダシ、ケーキは生地

美味しさの評価が高いのは、生地だった。生地がしっとりでふんわりしているとお客さんによく言われるそうだ。湿度や温度、天気によっても作り方や保存方法を微妙に変えている。お客さんが求めているものも、なんとなくわかる気がするらしい。言葉が分からないところに何年もいて、気を貼って神経を集中させていたから、それが生かされているのだと思う、とシェフは仰った。とは言え分かっていても、誰からも認められる美味しさを作り続けるというのは至難の業だ。
 

お菓子作りはオーケストラで言う指揮者のようなもの

同じ曲でも指揮者が変われば、まるで違う曲になるように、レシピ通りに作っても作る人が変わると味も見た目も変わる。それくらい厳しく、自分にいつも課題を持っていないと怠けてダメになってしまう。なにか戒めを持っていないといけないと思っている。だからこそ、売れそうなもの、女性が好みそうなものではなく、“自分が食べたいものを作っている”という。また、可愛いケーキよりも、色気があってその中に品があるケーキが好き。それを意識して作っている。

パステレリア テテ
小城店の様子


ティータイムとしても楽しめるカフェテリアもある。

プチガトー20種~25
ホールは710
ホールは前日までに予約。特殊なものだったら数日前に予約。
包み込まれたチーズケーキはまろやかな味わい

誰もが好きなイチゴのショートは日本オリジナルだった?!

全部食べたくなるケーキがショーケースにずらりと並ぶ
チョコの輝きと柔らかさを作るテンパリングが難しい

感じの良いスタッフの皆さんがおもてなししてくれる
店名

パステレリアテテ

住所

小城市小城町高原215-1

TEL

0952-73-5220

営業時間

10:00~19:00

定休日

水曜日

駐車場

10台

席数

店内10席/テラス6

アクセス

小城駅より徒歩約10分

HP

フェイスブック