魚蓮坊窯/窯名の由来
先代である松尾次郎が窯を開いたのは52年前。先代は昔の中国の漢詩が好きで、江南地方で蓮の実を採りながら唄う、素朴で明るい詩「江南」から「蓮と魚」という字を取り、加えて部屋という意味を持つ「坊」という字を合わせて魚蓮坊窯と名付けたそうだ。「江南」は魚が蓮の葉の池を西に東に南に北に動き回っている江南の田園風景を詠った詩であるとともに、魚(男子)と蓮(女子)とが戯れている様子を表した詩ともいわれている。
魚蓮坊窯の特徴である鮮やかな青の色は先代が作られた。
2代目である松尾伊知郎さんがその青色と形の組み合わせを継承し、現在の作品作りに生かしている。
窯元プロフィール
松尾伊知郎さん
九州産業大学、東亜大学、福岡教育大学非常勤講師
【略歴】
1963年生まれ
1988年 九州産業大学大学院美術専攻彫刻コース修了
1995~99年 米国滞在、ペンシルバニア大学、チェスター・スプリングス・スタジオ(フィラデルフィア)、グリニッチハウスパートリー(ニューヨーク)等で陶芸、彫刻を指導
精悍で爽やかな語り口が印象の松尾さんは、鹿児島生まれ佐賀育ち。大学では彫刻を勉強され、焼き物と彫刻の二つ仕事を生業にしている。海外での仕事が多いが、特に近年は中国やブルガリアに出向く機会が多いそうだ。そこでは作品作りや現地の陶芸家と一緒に展覧会などに参加しているとのことだ。また日本人や他の多くの国のアーティスト達との賢覧会や交流の機会も多いそうだ。中国に渡る場合、陶芸家の仕事場にしばらく滞在して一緒に作品を作る。松尾さん曰く、日本と中国は基本的には製法や考え方は一緒。だが、国・文化・生活様式が違うといろいろな違いが生まれ、その違いを体験することが海外での活動の醍醐味だそうだ。お互いに刺激を受けながらチャレンジしていると言われた。またご自分の作品作りは日本ならではの和食器も作るが、彫刻的な要素を取り入れた器も作っている。特に意識しているわけだはないのだが、中国やヨーロッパなどの遺跡から出てくるような形に近いものもあると語る。加えて、いくつかの大学で講師を務めていて、焼き物だけでなく美術全般教えている。
松尾さんが考える佐賀の窯元の未来
外から日本を見ること。
海外の人は日本で独自の変化を遂げた日本文化、芸術に大変興味を持っていると思います。しかし日本人は日本の文化・芸術が海外で非常に興味を持たれているということを、知っているようで案外知らないような気がします。ニュースやインターネットなどで情報は入ってくるけど、実際に自分が見聞きしたことは少ないですし。日本の焼き物が世界で人気があることがあまり知られていないのもその一つです。陶器や磁器、民陶、わび・さびと繋がった日本の陶芸は世界でとても人気があります。例えば、その中の一つである「楽焼」も世界中で作られています。楽焼がアメリカへ渡り、アメリカ式楽焼へと派生。そしてそれが世界中に広がっています。楽焼は一時間程度で焼き上がる面白い焼物。今では世界中の人がアメリカ式の楽焼を楽しんでいます。
「RAKU」はアメリカやヨーロッパ、そして世界の共通語となっています。これは日本文化の間接輸出と言えるかもしれませんし、また日本に戻ってくる逆輸入の面もあります。日本の陶芸家も、もう少し海外、日本の外から自分の目で「日本の陶芸」を見てみると面白いと思いますし、そこから新しい発見があるかもしれません。中国で感じる事は、日本文化・芸術の元は中国に多くあるのだなという事です。楽焼の元も中国にあるようです。日本に入ってきた異文化が、長い年月を掛けて日本独自の文化に変化していく。その変化の部分に日本人の独自性が有り、その独自性こそが世界中の人が興味を持つ日本の良さだと思います。
お湯呑み、カップやお茶碗は形や大きさがある程度決まっているので、そこに私らしさという個性、私にしかできない食器が作れないか。また、使いやすいと言ってもらえる器づくりを常に意識している。一概には言えないが、長くやっていないとわからない部分は少なからずある。ある程度長いことやってきたこと、年齢と共に積み上げてきたものは作品に影響する。作品は作る人とによってこだわりあると思うが、自分は彫刻をやってきたから「形」の部分でそのこだわりを出したいと、松尾さんは思っている。
海外では日本の焼き物がとても人気で、世界の陶芸の中で一番人気があると言っても過言ではない。また、海外に行って松尾さんが歓迎され、貴重な経験ができるのは「日本の陶芸家」という肩書があるからだと思っているそうだ。
海外に行くと初めての体験や経験が多く、行った先々の相手と交流することでお互いにいい刺激を受けられる。焼き物は世界共通のものだが、国が変わるとそれぞれの文化や習慣、国民性によって微妙に道具の使い方が違ったり、スタイルも変化する。それに対し驚きや参考になることも多々あるらしい。松尾さん自身、海外の人に日本へ来てもらうような、焼き物を通した交流をこれからさらにやっていきたいと、今後の抱負を語ってくれた。
世界では珍しい日本の和食器
松尾さんが海外経験から感じたことして、器が一つ一つの料理に合わせて、形や大きさを変えるのは日本の和食器の特徴と言えるそうだ。もちろん中国や韓国、アメリカやヨーロッパにも似たような様式はあるけれど、日本ほど多様性のある器の様式はあまり見られない、世界の中でも珍しい文化だという。言われてみれば、こちらの焼き物も千差万別、あらゆる形状の器が揃っている。しかも、用途ごとにとても機能的である。
欲しい焼き物を見つけたモデルの二人は大はしゃぎ。あれも良い!これが欲しいとテンション上がりっぱなしだ。
両端の上がり具合が特徴的な盛り皿。
色合いの鮮やかな使い勝手の良さそうなマグカップ。
奥様ギャラリー
イラストレーターである松尾さんの奥様の作品展示コーナー
可愛らしい絵付けや面白いデザインの器がたくさん並ぶ。
ココにも魚蓮坊窯特有の鮮やかなライトブルーがキラリ。
鮮やかな色合いの大皿もgood!
不定期で開催される展示会もあるみたい。
奥様の手書きが独特の世界観。
ご主人がろくろを回している姿を奥様が描いた作品。飼っている2匹のワンちゃんがまた可愛らしい。
スプーンや箸置きなどの小物もたくさん♪
ワークショップご案内
週1回コース
木曜教室18:30~20:30
日曜教室10:00~12:00
月謝¥6,000+税
粘土代¥100(税込)/1㎏
焼成代¥250(税込)/100g
1日陶芸体験
(要予約、2名様~)
2時間ほどでカップやお皿など2点制作します。
大人¥2,500+税
中学生以下¥2,000+税
※作品は焼成後取りに来ていただくか郵送(送料別)となります。
絵付け体験
(要予約、2名様~)
30分~1時間ほどでカップやお皿、陶小物などに絵付けできます。
1点 各¥1,000+税~
※作品は焼成後取りに来ていただくか郵送(送料別)となります。
グループ教室
学校や施設、職場やサークル等グループでの陶芸教室も致します。出張教室も可能です。お問合せ下さい。
名称 | 魚蓮坊窯 |
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住所 | 鳥栖市立石町1520 |
TEL | |
営業時間 | 9:00~18:00 |
定休日 | 水曜 |
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駐車場 | 6台 |
HP | |
アクセス | 鳥栖ICより車で約25分 東背振ICより車で約15分 |