店は'13年、みやき町に「イタリアン食堂 PEACE」としてオープン。お洒落なイタリアンの店として地元で人気を呼んでいたが、'17年8月に「和タリアン Kitchen PEACE」として同町内に移転オープンした。田園の奥に佇む築140年以上の古民家を改装した現在の店は、古き良き和の空間にモダンなインテリアが混ざり、お洒落ながらもどこかほっとするような、懐かしい匂いのする場所である。屋号の「和タリアン」とは、その名の通り和食とイタリアンを掛け合わせたもの。本格イタリアンをもっと健康的に、日本人の口に合いやすくするため、日本人が愛してきた「和食」を取り入れている。料理の仕込みは和食の基本である出汁を取ることから始まる。店では鰹や昆布を低温でじっくりと煮だした合わせ出汁を使っているが、前菜のほかトマトソースやパスタソースにも配合されており、このソースを使った石窯ピザやパスタは美味しいと評判だ。他にも、食後にはデザートや自家焙煎珈琲も人気。昼はランチ、夜はディナーや飲み会の場としてゆっくりと楽しめる店である。

オーナーの北見さんは親が共働きだったため小さい頃からよく料理をしており、高校卒業後一度は別の業界で働いていたものの、自然と飲食業をやるようになったという。もともと興味のあるものはどんどん勉強する性格が好じ、料理はほとんど独学で勉強したそうだ。そしてイタリアンの店を出そうと決めた際、本格的な洋食を日本にそのまま持ってきても、日本人のに口に合わないという事に着目。料理に日本人独特の味覚“うま味”をプラスすることでより馴染みやすい味に仕上げようと考え、鰹や昆布からとれる出汁を加えることにした。それから約半年かけ、煮だし方法や濃度、材料の産地を変えて試行錯誤した末、ようやくイタリアンのための出汁を完成させた。
北見さんは現在、基山にある系列店と行き来しているため、店の料理は店長が作ることが多いというが、食への探求心はまだまだ尽きない。今後はパン工房を建て、地元の柿を使った天然酵母でパン作りをしたいと考えているそうで、現在パン屋の知り合いからパン作りのノウハウを勉強中だという。小学生を対象にした無料のピザ教室など、食育のためのワークショップも増やしたいとのことで、今後の展開が楽しみだ。