上峰町で13年続く「パンの家」。役場のすぐ側というその土地柄、市役所職員や学校帰りの学生、病院通いの高齢者など、連日多くの地元客で賑わっている。こちらの最大の強みは、なんといってもパンの種類の豊富さ。常時110種類以上が揃ううえ、毎月5種類ほど新商品も登場している。さらに、「種類が多すぎて選べない」という客のために、ほとんどのパンは試食を用意されている。実際に味見して気に入ったパンを購入できるので、買った後に「イメージした味と違った」というハズレがない。もちろん数だけでなく、天然酵母や厳選した素材を使用し、防腐剤を使わないなど中身にもこだわりを持つ。
これだけのパンを仕込むために、店では前日から仕込みを行い、翌日の朝すぐに焼けるように準備している。焼き上げは昼頃まで一日数回に分けて行っているが、「よりパンが揃う時間帯に買いたい」「焼きたてのパンが食べたい」という人には朝9時頃と昼12時頃の来店がおすすめだ。また、店内にはイートインスペースも設置。セルフサービスの無料コーヒーとともに、お気に入りのパンを買ったその場で味わえる。

古賀さんは現在53歳。パン作り一筋35年の大ベテランで、パン製造一級技能士の資格も取得している。高校卒業後に大手パンメーカーに就職し、当時はスーパーの中でのパン作りや商品開発を担当していた。その後'05年に独立し、地元上峰で「パンの家」をオープンさせた。
「選ぶ楽しさを味わって欲しい」と、オープン時から80種類ほどのパンを作っていたが、様々な世代のニーズに合わせていった結果、110種類以上という現在の品数まで増えたのだという。昨年10月から毎月5種類以上の新商品を作っているが、そのアイディアは季節や食材をヒントに生み出しているそうだ。店では店内のほとんどの商品が試食できるというのも驚きだが、その理由は「実際に食べないとどんなパンなのかが分からないので、食べて気に入ったものを買ってもらえるように」だという。
「身体が元気な限りはパン作りを続けたい」という古賀さんは、今後について「最近は小麦などのアレルギーの人多いので、アレルギー対応のパンも考えたい」と語ってくれた。話す際の満面の笑みにも、優しいその人柄がにじみ出ていた。